キ:次の遠出デートの準備
200話達成祝いありがとうございます。
そして総合アクセス数が400万超え、ユニーク累計が50万超えました。……??? 最近300万超えはやーいって驚いてた気がします???
さらにVRゲーム〔SF〕ランキングが3位になってました。ありがとうございます。 いったいどこまで行くんだ……
とても嬉しいです。いつもありがとうございます。
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今日は水曜日。
僕等にとっては休みの前日。ちょっとくらい夜更かししても大丈夫!
ちょっぴりピリ辛な冷麺をもぎゅもぎゅ食べていると、雄夜が神妙な面持ちになった。
「真紀奈……今日インしたら何かやりたい事ある?」
「ん~? 今日ってイベントスケジュールどうなってたっけ?」
「『浜辺で丸焼きバーベキュー大会』」
「……バーベキューはいつでもできるし、特に無いかな。雄夜は何かしたい事あるの?」
訊き返すと、雄夜はとても儚げで悲しげな微笑みを浮かべた。
「人のいない所に行きたい……」
「あー」
そうだね。最近イベントで人混みばっかりだったもんね。
どうせイベント期間はそこそこ長いし、昨日のサメ退治で素材大量に交換できそうなポイントも貰ったから、通い詰めないといけない理由は無い。
「じゃあどっかキャンプしながら遠出でもしない? 大街道の時、仮設の作業場作って回った時みたいに」
「ああ、いいかも」
夕食を終えたら有志wikiを開いて、二人で行き先を物色する。
「どこがいいかなぁ。風切羽のおかげで帰りは一瞬だし」
「だからって旅のゴールがダンジョンは疲れるな」
「じゃあ景色の良さそうな所にする? 今ならプレイヤーは海に行ってるだろうから、人少ないだろうし……あ、ここは?」
有志wikiの『お勧め観光スポットまとめ』のページにあったのは、ピリオから北、エゴマ亭よりもずっと北にある湖のほとりの街。
『湖畔のミストタウン』
「景色よさそう」
「どれ……」
大きな湖の岸辺に作られた街で、半分が小麦畑と風車、もう半分が綺麗な街並みと区画がハッキリ別れているのが特徴。
畑と街の境目にある、大きな尖塔のある教会も見所。
そしてなんと湖には精霊郷がある。
「精霊郷には……『青の白鳥精霊』がいて、運が良ければ『因果の黒鳥幻獣』もいる時がある」
「え、すごい欲張りセットじゃん」
「『因果の黒鳥幻獣』は……ガチャみたいなものか」
『因果の黒鳥幻獣』が運良くいる時に精霊郷へ入ることが出来れば、精霊が幻獣との通訳をしてくれて、希望する種類のアイテムをひとつ貰う事が出来るらしい。
そのアイテムというのが、幻獣曰く『因果』の結果で内容が決まるのだとか。
「マスクデータで貢献度みたいなものがカウントされてて、報酬とかの見返りが少ない且つ貢献度が大きいと、ものすごく良い物が出るって事じゃないか? って仮説がたってる」
「ふわっとしてる」
「確かめようが無さそうだしな」
そしてその幻獣のガチャは、一人一回しか回せないらしい。
「だから、もっと良い物が出るかもしれない後半にとっておくプレイヤーも結構いるって」
「へぇー! 面白そう、やりたい!」
「今ってだいぶ序盤だと思うけど、いいの?」
「エリクサー病だから、その理屈でいくと一生やらなくなるもん」
「まぁね」
そんな感じで、行き先はこのミストタウンに決定!
* * *
ログインして遠出の準備。
とは言っても、皆にしばらく留守にするって事を伝えて、食料を買い足すくらいかな。
僕は普通の箒を持って、首飾りの鳥籠にネモ。
相棒は知らない所に行くから斥候のベロニカと、ネビュラを久しぶりに小さい形態で頭上に乗せて連れて行く。
「そういえば、ネビュラは精霊だから不可視化出来るけど、ベロニカは従魔じゃん? 従魔ってログアウト中はどうなるんだろ?」
「拠点に置いてきてるのはそのまま。外で連れ歩いてるのは休眠状態になって一緒に消える」
「あ、じゃあ置き去りにしちゃう心配はないね」
じゃないと野良従魔みたいなのがそこら辺にウロウロしちゃうもんね。そのへんはちゃんとゲームしてて良かった。
「じゃあ行ってくるねー」
「いってらっシャーイ」
まずはエゴマ亭に転移。
ここで昼食をとって、北に向かって出発するのだ。
「テイクアウトとかあったら買ってもいいよね。お弁当に」
「ああ、いいかも」
あそこのご飯美味しかったし。キャンプでお弁当もそれはそれで楽しいからね。
久しぶりのエゴマ亭は……なんか家畜に山羊が増えた?
そこら辺の草をもひもひしてる山羊がちらほら。山羊もかわいいねぇ。
ほのぼのとしながら食堂に向かう。
前にも見たNPCの女性に挨拶して、空いてる席に座った。
(あっ! 相棒相棒、鹿の首飾ってあるよ!)
(おお)
前に押し付けた鹿の首の壁掛け。
ドドーンと食堂の目立つ所に飾ってあった。
気に入ってもらえたなら良かった。
お昼のメニューは軽食か具沢山スープ定食かを選べるスタイル。
今回は具沢山スープを注文。従魔のご飯も追加料金で出るって話だから、ベロニカとネビュラの分もお願いした。
一番メニューの種類が多いのは夜なんだね。
テイクアウトもやってたからお願いしておく。
(あんまり人いないね。やっぱりみんな海に行ってるのかな)
(または、昼は少な目か時間がバラバラなのか)
のんびりと待っていると……料理の乗ったカートを押して、宿の店主さんが現れた。
えっと名前は……ゴマ油さん……あ、そうそう、エクストラバージンゴマオイルさん。
「お待ちしておりました」
んえ?
なんか待たれるような事あったっけ?
「あちらの【夢喰い鹿の王首】を頂いたとの事で、とても貴重な良い物をありがとうございました。おかげさまで行商人にも一目置かれ、精霊にも目をかけて頂いております」
あ、鹿の首の事か。
そうだよね、他に無いよね。
……でも鹿の首で精霊に目をかけられてるのは何で?
「えっと、気に入ってもらえたなら良かったです」
「それはもう! お礼に本日のお食事は無料とさせていただきますので、ごゆっくりお楽しみください」
「えっ!?」
なんてこった。別にいいのに。
でもリアルでも店員さんとのやりとりがあんまり得意じゃない僕らが遠慮しきれるわけもなく……最終的にお宿の回数券まで貰ってしまった。
(……ご飯にデザートもついてる)
(……まぁ、ありがたく貰っておこう)
鹿の首、そんなにヒットしたのかぁ……
デザートのシュークリームは、すごく甘くて美味しかった。




