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第34話 告白

「里桜さん、俺は……す、す……」



 その続きが言えない。言葉が続かない。

 上を見上げると、空はどこまでも晴れていた。

 冬の空気の冷たさが、沈んでいく夕日の暖かさを強調していた。



「先輩……」



 里桜さんはそう言って、一歩前に進み俺の胸元に顔を寄せる。

 じわっと、彼女の温もりが伝わってくる。



「俺はずっと、この瞬間を迎えられないのだと思っていた」


「えっ?」


「いつか見た光景は、きっと夢で手の届かないところにあるって思ってた。でも、今こうやって里桜さんと一緒にいると、なんでもできそうな、そんな夢だって見ることができる」


「……先輩?」



 里桜さんは、意味が分かったような分からないような、そんな微妙な表情をしている。

 そりゃそうだ。


 幾度と見た夢の先に、この告白が待っていた。

 今だってそうだ。でも、それには……乗り越えないといけない壁がある。

 でもその壁が見えるのは、俺だけなんだよな。



「ごめん、意味分からないよね」



 そう言うと、里桜さんはふるふると顔を振った。



「先輩って、いつも一生懸命ですよね?」


「そうかな?」


「はい。私には、そう見えます。今だって、何かを伝えようと一生懸命です。あの時も、あの時も……。だから私は、あの……す、す……」



 今度は里桜さんが、つっかえて先に進めなくなっている。

 俺はその様子を見てくすっと笑った。ああ、俺たちはもう……。


 彼女の肩に、そっと手を置く。

 その後の俺の言葉は、もう止まることは無かった。



「里桜さん、好きだよ……初めて会ったときから、ずっと」



 里桜さんの頬に涙が伝った。

 俺は人差し指の腹で拭いながら、彼女の顔を見る。



「せんぱい……じゃあ、付き合って……」


「うん。付き合って欲しい。里桜さん」


「……はい……よろしくお願いします……あぁ」



 静かに頷き、里桜さんを抱きよせる。

 ぐっと、抱きつかれるように彼女の体重が俺にかかってくる。



「先輩、ごめんなさい。少しだけこのままいさせてください」



 わずかに見える里桜さんの瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれている。

 思えば、初めて会ったのは、茜色の夢だった。

 あの時と同じことを、今里桜さんが口にしている。


 でも、あの時と決定的にちがうのは、その口元が緩んでいて、眉は下がっていても、微笑みがあることだ。

 嬉しさ、愛しさ……たぶん、彼女は今そんな感情を抱いている。


 艶のある髪の毛が、透き通るような肌が、そしてその温かい身体が……どれだけ尊いことか。 


 しかし、初めて里桜さんを見た茜色の夢と変わっていないこともある。


 このままでは、里桜さんの命が尽きてしまうことだ。

 絶対に、そんなことはさせない。


 絶対に——。



「俺はずっと里桜さんを守る。これは、誓い」


「誓い……?」



 里桜さんが、俺の言葉に反応する。

 俺は彼女の頭を撫でながら、その言葉を口にする。



「うん。心に刻む誓いだよ。命に代えても、君を絶対に守る——」




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