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第12話 旧知


「これ、どこにありました? もしかしてネットの記事に残っていたとかですか?

 写真の港は……里桜ちゃんのお兄さまが亡くなった場所……ですの」


「何だって? 里桜さんのお兄さん……(さとる)さんだっけ?」


 どうして亡くなったのか聞いてなかった。

 あまりそういうところまで踏み込むには、まだ関係が浅い。


 俺は写真を見つめた。

 どうしてストーカーのアカウントのつぶやきに、そんな写真が含まれているんだ?



「亡くなられたのは事故だそうですの。里桜ちゃんのお兄さん、悟さんは……酔って港から海に転落したのだとか」


「事故ってこと?」


「ええ。ただ、警察は自殺の可能性も疑っていて……しばらくあとに、最終的には自殺として処理されたと聞いています。一緒に飲みに行った人がいたのですが、その人と一緒に港に行って——」


「自殺か……何か遺書のようなものがあったのかな」



 愛利奈の話をまとめると、一年前の夏頃、悟さんとその人が飲みに出かけたらしい。

 もともと旧来の友人同士である二人は、飲み終わってから海の風にあたろうと港に向かった。


 二人は語り合い、そのまま岸壁で寝てしまったのだとか。

 しかし、朝になりその人が目覚めると、悟さんの姿が見えなかった。

 その場所から少し離れたところで海に転落、溺れているところを発見されたようだ。



「……一緒に飲みに行った人が怪しくないか?」


「それが、複数の目撃者がいるらしいのです。その人を残して、悟さんだけがフラフラと歩いていくのを、釣りをしている人が見ていたのだとか。

 釣りをしていた人たちは、朝までその人が眠っていることを見ているそうです」



 なるほど。

 それなら、確かに警察も疑うわけにいかない気がする。

 怪しいところは特に無いってことか?

 どうにも引っかかるけど。



「お兄さま……何か気がついたのですか?」


「い、いや、何か引っかかる」



 俺はスマホ画面の港の写真を見つめる。


 事件性がなくても……いや、事件性がないからこそ……どうしてそんな港の写真が里桜さんのストーカーがアカウントに載せていたんだ?


 現地に行けば何か分かるんじゃないか?

 俺は藁にも縋る気持ちで、その場所に行ってみたいと思った。



「あの、お兄さま……?」


「い、いや……なんでもない」


「この港に行ってみるつもりですか?」



 どきっ。

 思っていることを言い当てられ、心臓が飛び跳ねる。


 そういえば、最近の愛利奈は妙に勘が鋭い。

 里桜さんの通院を後押ししてくれたのも愛利奈だ。



「あ、ああ……。本当は里桜さんに聞いてみたいところだけど、どうにもお兄さんのことだと聞きにくいな」


「はい。あまり聞かない方が良いと思います。今日から入院していますし……。

 それに、わたくしも話を聞いているので、わたくしに聞いて下さいませ」


「うん、分かった、ありがとな」



 俺は愛利奈の部屋を出ようと背を向けた。



「あの、お兄さま、私も一緒に行きます」


「……え?」


「里桜さまの力になれるなら……何でもしてあげたいし、私の知っていることも役に立つかと」



 愛利奈の頼もしい提案だが、少しだけ躊躇した。

 巻き込むかもと思った。


 だけど、幸いストーカーのターゲットは里桜さんのみだ。

 愛利奈は俺と同じようにモブ扱いだった。


 俺のひいき目を抜いても妹の愛利奈は相当な美少女だと思う。

 なのに、俺と同じようにモブ扱いするとは……。


 とはいえ、危険に晒されないので、もちろんそれでいいのだ。



「分かった。じゃあ、明後日の土曜日、写真の港に行ってみよう。どこか分かる?」


 愛利奈はスマホを少し操作して「気高(けだか)町」と言った。

 う……県の反対側じゃないか。片道二時間コースだな。


 

「さっき話した、悟お兄さんが一緒に飲みに行った人ですが、私たちは会っていますわ」



 急にとんでもないことを愛利奈が言い出した。



「……本当か?」


「はい。赤城先生、医大で里桜ちゃんの主治医をしている人です」



 ウソだろ。


 愛利奈は、当時のネットのニュース記事を保存していた。

 その記事はゴシップ誌のようだが、それには確かに赤城医師の名前が載っている。


 そういえば、初めて俺が会ったとき、ジロジロと俺の顔を見てきたな。

 もしかして、俺が悟さんに似ているからなのか?


 警察は事情を聞いただろうし、事故として処理されたのなら犯人ではないのだろう。

 怪しいけど……警察に見抜けない者が俺に見抜けるとは思えない。

 茜色の夢でも見ない限り。



「じゃあ、お母様に許可と交通費をもらってきますわ」


「あ、ああ」



 とんとんとんと、軽やかに階段を下る愛利奈。

 やけに乗り気な様子に戸惑う。


 そういえば二人でどこかに出かけるなんて、いつぶりだろうか。

 楽しみにしてくれていると言うことか?



 ☆☆☆☆☆☆



 そして週末がやって来る。

 しっかり母の許可をもらった俺と愛利奈は張り切って、写真の港に向かったのだった。


 何か手がかりが得られれば良いのだけど。



お読みいただき、本当にありがとうございます!


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