パパとママとコウノトリ
つがいの宴が終わり深夜に幸せの島に帰って来た。
わたし達家族はドラゴン達に運んでもらって、グリフォン王達とウェアウルフ王達も後から島に遊びに来てくれた。
マンドラゴラの子供達はお父さんから離れたくないらしくて、魔王城に残る事になった。
ガゼボでお茶をしながら、子孫繁栄の実をどうするかの話し合いをする事になった。
グリフォン王が遠い島から運んで来てくれた大切な木の実。
わたしは、あと何年か経つまで妊娠はしない事になったから……
子孫繁栄の実はすごく貴重で珍しい物だから腐らせたらもったいない。
そこでパパとママが食べる事になったんだ。
ママは恥ずかしがっていたけど嬉しそうだった。
ママは昔、命の恩人のパパに一目惚れしていたらしい。
まさか島にいるパパがエメラルドのオークだなんて思いもしないまま数年間一緒に過ごしているうちに、いつの間にか好きになっていたんだね。
嬉しそうに食べている姿を見てわたしも嬉しくなっちゃった。
それからパパとママは休むからって家に入って行った。
今日はママと一緒に寝られないのか……
でもパパとママが結婚するんだったら、わたしは今日から一人で寝るのかな?
「ルゥ? どうした?」
じいじが心配そうにわたしの髪を撫でてくれる。
「お姉ちゃんになれるのは嬉しいけど……ママがこれから毎日パパと寝るなら、わたしは今日から一人で寝るのかなって思って」
子供みたいな事を言って恥ずかしいけど、やっぱり寂しいよ。
「ルゥはじいじと一緒に眠ればいい」
じいじが少し恥ずかしそうに微笑んでいる。
じいじと一緒!?
そうだよね。
つがいになったんだから、そうなるよね。
ドキドキしてきた……
毎日じいじの寝顔を見られるのは嬉しいかも……
「聖女様、幸せそうなお顔ですね」
グリフォン王が嬉しそうに話しかけてくる。
わたし、ニヤニヤしちゃっていたかな?
恥ずかしい。
「本当にルゥはかわいいわね」
ばあばまで……
わたし、そんなに分かりやすいかな?
「もう知るか! バカオークめ!」
ママが大声で怒っている?
どうしたんだろう?
「ママ? どうしたの? パパは?」
「あのバカは……ヒヨコを抱っこして、イビキをかいて寝た!」
パパは疲れていたんだね。
ずっと泣いていたし、プリンもいっぱい作っていたし。
結局、食べられなかったけど。
「これじゃあ、子作りできないじゃないか! バカオークめ!」
……?
あれ?
「パパが寝ていると、赤ちゃんが来ないの?」
「ルゥ? 何、言ってんだ? できるはずないだろう? 赤ん坊ってのは……」
「ウワアアアア!」
ピーちゃんが大声で叫んだ?
「なんだ? いきなり、でかい声出すな!」
「ヒメサマ、マダ、ハヤイ!」
「何が早いんだよ?」
「アカチャン、ツクリカタ!」
「はあ!? 作り方だあ!?」
皆がわたしの顔を見ている?
え?
何?
皆が納得した顔をしている?
どうしたんだろう?
「そうだな。ルゥはまだ知らなくていい」
ママまで……
何に納得しているんだろう?
赤ちゃんが来る方法?
前世ではコウノトリが連れて来たんだよね?
この世界では何が連れて来るの?
「赤ちゃんはパパが起きていると来るの? パパとママが起きていないと来ないの?」
「ヒメサマ! ヒメサマ、クッキー、アルヨ?」
どうして慌てているのかな?
あ!
チョコのクッキーがある!
「クッキーだ! 食べる! 食べるよ!」
宴のご馳走を全然食べられなかったんだよね……
「あははは! ルゥは本当にかわいいわね。これからは毎日遊びに来ようかしら」
ご機嫌でクッキーを食べるわたしを見て、ばあばが笑いながら話している。
「本当に? 毎日? 嬉しいな」
もっとご機嫌になったわたしの髪を、ばあばが優しく撫でてくれる。
お父さんとマンドラゴラ達と離れて暮らす事になって寂しいけど、ばあばが遊びに来てくれたら賑やかになりそうだね。
色々あったけど……
これからは皆で幸せに暮らしていけそうだね。




