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自殺じゃなかった? ~後編~

「……まさか、その男ってファルズフ?」


 ファルズフは、どんな天使なんだろう?

 でも、悪い天使はおじいちゃんが倒したんだよね?


「そうだ……善人の振りをして、まだ数人しかいなかったこの第三地区の人間を傷つけたんだ。それに気づいたデメテルがあの男を閉じ込めた」


 雪あんねぇは、この島に来てすぐにお母様と知り合っていたんだね。

 そういえば、お母様も雪あん姉と同じような事を言っていたね。

 狡猾な人程優しく見える……みたいな事だったかな?

 だから常に油断したらダメだとも言っていた。

 雪あん姉とお母様はファルズフの事を言っていたんだね。


 でも……


「皆はどうしてファルズフがペルセポネを殺害したと思ったのかな?」


「ペルセポネは、ヴォジャノーイ族になったわたしに会えないように閉じ込められていた。出入りできたのはデメテルと主治医のファルズフだけだった。しかも、ペルセポネの自害を必要以上に騒ぎ立てたらしい。それで、時を戻して助けられなくなったとデメテルが言っていた。デメテルが部屋に入った時にはまだ息があったようだからな……助ける事は可能だった」


 ハデスが険しい顔で話してくれる。

 辛いよね。

 ハデスがペルセポネを大切に想っている事は分かっているから……

 聞いているだけでも心が苦しくなるよ。


「じゃあ、ファルズフはペルセポネを生かしておきたくなかったっていう事?」


 ペルセポネだったわたしは、そんなに嫌われていたの?


「あの男はおかしかった。異常なまでに一人の女を愛していた」


 雪あん姉?

 どういう事?


「それは……どういう?」


「デメテルがあの男を捕まえる為に兵を連れて来たんだ。素直に捕まったあの男がな……最後に呟いたんだ」


 呟いた?

 何て?

 

「これで愛しい人とずっと一緒にいられる……ってな」


 ……!

 胸が苦しい!


『ペルセポネ……愛しい人。これからは毎日抱きしめてあげるからね。わたし達は君の死をもって家族になれるんだよ?』


 ……!?

 何?

 今の……

 変な声が聞こえた?

 でも、他の皆には聞こえていないみたい。

 じゃあ、ペルセポネの記憶っていう事?


「ルゥ? 顔色が悪いぞ? 大丈夫か?」


「……うん」


「デメテルが言っていた。もしかしたら、ファルズフは自宅に監禁される為に神の息がかかる島に手を出したのかもしれないと。そして、誰にも邪魔されずにペルセポネとの時間を……」


 ハデス……

 悔しいよね……

 大切なペルセポネの身体を他の男が持っているかもしれないんだ。


「どうしてファルズフの家を捜索しないの?」


「ルー、あの男は狡猾なんだ。いつか家を捜索される事も計算済みのはずだ。もし、ルーの前の身体が見つからなかったら天ちゃんとデメテルが罰を受ける事になるはずだ。そうなってからあの男が監禁を解かれたら、ルーがどんな目に遭うか……」


 雪あん姉……

 かなり酷い目に遭わされたんだね。


「わたしの為に……何もできない? そんな……」


 結局、わたしが思い出すしかないんだ。

 そうしなければ何も前に進まない。

 ペルセポネ……

 お願い。

 わたしにあの時何があったのか……全てを教えて?

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