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クレープに入れて巻くものは?

「これは……! クレープとは最高の食べ物ですね!」

「旨い! 疲れがとれる……」

「このプリンという食べ物も最高だ!」


 冥界のケルベロスがプリンの乗ったクレープをおいしそうに食べている。

 

 良かった。

 ケルベロスは甘い食べ物が大好きなのよね。

 昔からそうだったわ……

 

 ……?

 え?

 今のってペルセポネの記憶?

 何となくだけど……ペルセポネの記憶が全て戻ろうとしている?

 わたしの魂はペルセポネの魂が成長した物なんだよね?

 だから、ペルセポネの記憶が戻ってもわたしの心は消えないって言っていた。

 昔の出来事の記憶が蘇っても、わたしはわたしだよね?


「どうした?」


 あ……

 ぼーっとしたから、ベリアルが心配してくれたんだね。

 かわいいベリアルがわたしの心配を……

 あぁ……幸せ。


「ううん? 何でもないよ。心配してくれてありがとう」


「え? そうじゃなくて、クレープのおかわりは?」


 そっち!?

 ……そうだよね。

 ベリアルがわたしの心配をしてくれるはずがないよね。


「るぅ、おれもたべたい!」


 弟のハーピーちゃんがワンピースの裾をかわいく引っ張っているね。


 あれ?

 そういえば、いつの間にか地獄のコルセットを脱いでいるね。

 おばあちゃん達が脱がせて、いつもの服に着替えさせてくれたのかな?

 息をするのが楽だよ。

 明日も、またコルセットを着けるのか……

 今から気が重いよ。


「ハーピーちゃんは甘くない方がいいかな? チーズとかを挟んでもおいしいよ?」


「ちーず? つけものは?」


 漬け物?

 ハーピーちゃんは漬け物が好きだからね。


「ハーピーちゃんの好きな物を挟んでいいんだよ?」


「すきなもの? いちばんすきなのは、るぅだよ?」


 ……!?

 かわいいハーピーちゃんがわたしを一番好きって言ってくれた?

 やっぱり、わたしの弟は世界一かわいいよ!


「ハーピーちゃん、ルゥを食べたらダメだよ?」


 パパが歩いてくる。


「うん。たべない」


 え?

 食べ物として一番好きっていう事じゃないよね?

 クレープに巻かれて食べられないよね?


「ルゥ、身体は平気?」


 パパが優しく髪を撫でてくれる。


「うん。大丈夫だよ? 倒れて運ばれたんだね」


「ハーピーも心配していたよ」


 ママ?


「ママは? お出かけしているのかな?」


「ルゥが元気になるようにって果物を探しに行ったよ」


「わたしの為に?」


「ハーピーはルゥがかわいくて仕方がないんだ」


「……うん。すごく嬉しいよ」


 ママもパパもわたしがこの世界に来てからずっと大切にしてくれる。

 本当に感謝の気持ちでいっぱいだよ。


「パパは……ルゥの気持ちを大切にして欲しいよ?」


「パパ?」


 わたしの気持ち?

 何だろう?


「ハデスとずっと一緒にいる為には……ルゥ(頑張って思い出すんだよ? ハデスと離れたらルゥは寂しくて耐えられないよ)」


 パパ?

 どうして小声なのかな?

 皆、わたしに何かを隠している?

 何を……?

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