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思い出せない記憶

「ルゥ……すまない。身体が辛い時に……」


 ハデスが優しく髪を撫でてくれる。


「……ごめん。何も思い出せなくて」


 ペルセポネが自殺した時の事を思い出して欲しいのかな?

 大切な事……?

 何だろう?


「ルゥ。ゆっくり休もう。家に帰るか? このままおばあさんの側にいるか?」


「……あ、わたしどれくらい寝ていたの?」


 たくさん寝た気がする。

 明日になっちゃったかも。

 マグノリア王国の浄化に行かないと。


「今は夕方だ。明日のマグノリアの浄化は、また後日にしよう」


「……ダメだよ。魔素で苦しんでいる人間を助けてあげたいの」


「ルゥ……身体は平気か?」


「うん。大丈夫!」


 夢の中では身体が痛かったけど今は平気みたい。


「ピーちゃんが治してくれたの?」


「あぁ。シームルグは母親が心配するから帰ったぞ?」


 いきなりお父様に連れて来られちゃったのか……

 申し訳ない事をしたね。

 今度会ったら謝ろう。


「ルゥ……もう少し眠るか?」


「ううん? 大丈夫。ベリアルとクレープを作る約束をしているの」


「そうか……」


 ハデス……?

 どうしたのかな?

 

「広場まで連れて行こう」


 ハデスが抱き上げてくれる。


 あぁ……

 温かいな。

 ハデスの胸の音が心地いい。


「ルゥ……もう平気か?」


 広場に着くとベリアルが心配してくれる。


「うん。もう大丈夫だよ? 約束のクレープを作ろう? すごくおいしいんだよ?」


「……そうだな」


「元気無いね。しょっぱいお菓子が良かったかな?」


「いや、クレープが食べたい……」


「うん! じゃあ、作ろうか」


「ルゥ……お母様達は帰るわね?」


 腕まくりをするとお母様が話しかけてくる。


 クレープを一緒には食べられないのか。

 偉い立場だし忙しいんだろうね。


「うん。心配かけてごめんね」


「かわいい娘だもの……無理だけはしないでね?」


 お母様が優しく抱きしめてくれる。


「……うん」


 甘くて良い匂いだ……

 ……?

 ペルセポネの最後の記憶……

 確か、お母様が泣きながら抱きしめてくれていたよね。

 あれ?

 何か大切な事を忘れているような……

 ダメだ。

 やっぱり頭にモヤがかかっていて思い出せない。


 お母様達が天界に帰ってしばらくすると冥界のケルベロスが遊びに来てくれる。


「ペルセポネ様! この甘い匂いは何ですか?」

「良い匂いだ!」

「旨そうだ!」


 かわいいな。

 三つの頭がクレープの匂いに喜んでいる。

 しかも、ブラッシングされてフワフワ……

 今日もいっぱい吸わせてもらおう!


「……ルゥは、ルゥだな」


 冥界のケルベロスを吸いたくてウズウズしているわたしを見て、ベリアルが呟く。


「え? どうしたの? わたしはわたしだよ?」


 皆、どうしたのかな?

 少しおかしいよ?


「……そうだな」


「分かった! 今日はいっぱい神力を使ったから疲れちゃったんだね。できたよ? ベリアルの好きな物を全部乗せたクレープだよ」


「おお! プリンが乗ってる! チョコもマシュマロも! パクッ! うまあぁぁい!」


 良かった。

 元気になったみたい。

 今日は色々お願いしちゃったから、クレープをお腹いっぱい食べてもらおう。

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