何をどうしたらこうなるの!? ~後編~
「そろそろ、やめないと死ぬぞ?」
抱っこされているベリアルが話しかけてくる。
「え? あぁ……そうだね。そろそろやめようか」
(なんだ。もう終わりか……なかなかおもしろかったぞ? では……)
部屋の中の水が一瞬で無くなる。
ネーレウスのおじいちゃん……
帰ったのかな?
それとも、近くにいるのかな?
いつも姿が見えないから、よく分からないよ。
「ゴホッゴホッ!」
デッドネットル王が苦しそうに咳き込んでいるね。
「……水の味は、いかがでしたか?」
感情の無い微笑みを浮かべてみるか。
怖い事を言うよりも、その方が怖いよね?
「ゴホッ! 申し訳ありませんでしたあぁぁぁ!」
小娘だと思ってバカにするからだよ?
「分かれば良いのです」
あぁ!
スッキリした!
「……何が良いのだ?」
え?
あ……
ハデス……
もしかして、わたしをバカにされたから怒っているの?
「我が妻を侮辱したのだ。今この場で関節を✕✕して内臓を✕✕してジワジワとなぶり✕✕にしてやろう。このわたしが直々にな……」
ハデス!?
そこまでしなくても……
顔が怖いよ!?
これは、さっさと浄化を終わりにして帰らないと!
「ベリアル! お願い! ルゥ大ちゅきって言って! ハデスが、まずい顔になっているよ!」
「あの顔になったら終わりだ……もう誰にも止められないぞ!?」
ベリアルは天界でハデスの側付きだったからよく分かっているね。
「浄化を終わりにして帰るんだよ! お父さんに止めてもらおう!」
「分かった! ルゥ大ちゅきぃぃぃ!」
やったぁ!
どさくさに紛れてベリアルに大ちゅきって言ってもらえたよ!
「おお! 浄化が終わったぞ!?」
吉田のおじいちゃんがおばあちゃんに抱きつきながら叫んでいる。
「よし! 帰るよ! ベリアル、お願い!」
「ダメだ……お腹が空いてもう力が使えない……」
「ええ!? どうしよう! ハデスが!」
ウェアウルフ王と前ウェアウルフ王のお兄ちゃんが必死で止めているけど限界だ!
バタン!
人間が慌てて部屋に入って来る。
「陛下! ドラゴンです! ドラゴンの大群が……」
え?
ドラゴンの大群?
そういえば、第三地区の皆とドラゴン達は仲良しなんだよね。
長く生きている者同士、話が合うみたいなんだ。
遊びに行った第三地区の水晶でこの状況を知って、おもしろがって見に来たのかも……
「ドラゴンの背に魔族が乗っているのですが……あの、ただならぬ気配……もしかしたら魔王ではないかと……」
魔王?
お父さん?
わたしを心配して来てくれたの……?
いや、違う……
吉田のおじいちゃんを攻撃しに来た!?
ドラゴンが見に来たのは魔王のマザコンの姿……じゃなくて、あの……母親を大切にする姿……というか。
とにかくっ!
吉田のおじいちゃんをおばあちゃんから離さないと!
その前に興奮状態のハデスも何とかして……
あああ!
もうパニックだよぉ!




