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何をどうしたらこうなるの!? ~前編~

(ネーレウスのおじいちゃん! 聞こえいてるかな?)


 水の上位精霊のおじいちゃんに心の中で呼びかける。

 

(あぁ。見ていたぞ? 殺す(やる)のか?)


 やっぱりおじいちゃんって、いつもわたしを見ているのかな?

 少し怖いかも……

 深く考えるのは、やめよう。

 いつも助けてもらっているし……

 おじいちゃんの声はわたしにしか聞こえていないから口に出して会話しないように気をつけないと。

 独り言を言っているみたいに見えちゃうからね。


(命までは奪わなくていいよ? ちょっと懲らしめたいの。できる?)


(あぁ。五秒でこの部屋を水で満たすのだろう?)


(わたしが微笑んだらやってもらえる?)


(あぁ。おもしろそうだ。一秒でやってやろう)


 ふふふ!

 ぎゃふんって言わせてやるんだから!

 

「(ベリアル、皆を守る結界をお願い!)」


「(任せろ!)」


 ベリアルも楽しそうだね。


「では、お望み通り始めましょう」


 魔族の皆も第三地区の皆もわたしが魔術を使える事を知っているから身構えているね。

 吉田のおじいちゃん……

 耳を塞いでいるけど、今から出てくるのは水だから塞ぐのは鼻じゃないかな?

 ん?

 耳を塞ぐのをやめて嬉しそうにおばあちゃんに抱きついた!?

 ……どさくさに紛れて何をやっているの?

 ニヤニヤしているね。

 あれ?

 そういえば、今のこの状況を第三地区で皆で見ているんだよね?

 ……お父さんは、おばあちゃんが抱きしめられている姿を見るのが辛いだろうね。

 って、今はそうじゃなくて……


「……後悔とは、生きている間しかできません。デッドネットル王……残念です」


 あぁ……

 わたしは悪い子だね。

 ワクワクしちゃうよ。

 でも表情に出さないようにしないと。

 じゃあ、始めようか。

 

 ネーレウスのおじいちゃんへの合図で、デッドネットル王に微笑みかける。


(よし、ルゥよ。始めるぞ)


 ネーレウスのおじいちゃんの楽しそうな声が聞こえてくる。

 おじいちゃんは上位精霊だけど、こういうのが大好きなんだよね。


 うわあぁ!

 すごい!

 本当に一秒で部屋の中が水でいっぱいになったよ。

 ベリアルの結界のおかげでデッドネットル王以外は息もできているし、水に流される事も無い。

 

 お兄様も椅子に座った状態でデッドネットル王を見つめている。

 お兄様が怖い顔をしているね。

 デッドネットル王が、わたしをバカにしている事に気づいたのかな?


 ……吉田のおじいちゃんは、この状況でもおばあちゃんのほっぺたにチュッチュしているね。

 どれだけ図太い神経をしているんだろう……

 あのニヤニヤ……

 見ている方が恥ずかしいよ。


 お父さん……

 第三地区で泣いていないよね?

 まさか怒ってデッドネットルに乗り込んで来る事は無いよね?

 魔王だからね。

 怒らせたらどうなるか……

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