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尽きない心配

「ルゥ? 疲れたか?」


 ハデスが心配そうに覗き込んでくる。


「あ……大丈夫。少しだけ、ぼーっとしちゃった」


 何だったんだろう?

 まだ、天界か冥界にいた時の記憶かな?

 部屋に入って来た人……ハデスじゃなかったね。

 誰だろう。

 すごく嫌な感じがするよ。

 過去に何があったの?

 ペルセポネが、思い出せって教えてくれているの?


「そうか……なるべく早く帰ろう」


 ハデスが優しく微笑んでくれる。

 心配させちゃったな。


「……うん」


 抱っこされているベリアルが、わたしを見つめている。


 ……過去では接点は無かったわ。

 ベリアルはいつも一人だったし、神の娘のわたしに話しかけてくる事も無かった。

 あの頃のベリアルは今とはだいぶ違ったわね。


 あれ?

 記憶が……

 今まではペルセポネだった頃の記憶はほとんど戻ってこなかったのに。

 もしかして、ペルセポネだった頃の全ての記憶が戻ろうとしている?

 このタイミングで?

 何か良くない事が起こる前に警告してくれている……とかじゃないよね?


「……ルゥ? 大丈夫か? 胸の音が速くなったぞ?」


 抱っこされているベリアルが心配してくれる。


「うん……大丈夫」


 少し頭が、ぼーっとしている。

 ダメだ。

 今は聖女として頑張らないと!

 しっかりしないとね。


 長い廊下をまた歩き始める。


「聖女様、昨日の浄化でお疲れのところを歩かせてしまい、申し訳ございません」

「あと、二、三分ですので」


 人間達が恐縮している。

 疲れていると思わせちゃったね。

 申し訳ない事をしたよ。


「疲れてはいないので大丈夫です。立派なお城ですね。これだけの規模ですと管理も大変そうですね」


 社交辞令みたいな話になっちゃった。

 天気の話よりはいいかな?


「専用の清掃員達が深夜に一斉に清掃を行います。約五十人でも三時間はかかります」


「それは、大変ですね」


 疲れ果てている清掃員達の姿が目に浮かぶよ。

 これだけの広さをたった五十人で?

 時間との戦いだろうね。


「あの見えている扉です。あちらで四大国の王様達がお待ちです」


 あの見えている扉?

 かなり遠くに見えているあの扉かな?


「デッドネットル王とリコリス王以外の王も……ですか?」


 昨日のアルストロメリア王と、明日浄化予定のマグノリア王も来ているっていう事?

 リコリス王のお兄様の話だと、マグノリア王はすごく厳格なんだよね?

 吉田のおじいちゃん……

 絶対にぜーったいに裸踊りだけはしないでね?


 そういえば、アンジェリカちゃんのおじいさんはアルストロメリア王国から追放されているんだよね?

 今は公爵としてリコリス王国にいるけど大丈夫なのかな?

 罪人として捕まる事は無いよね?

 アンジェリカちゃんの二番目のお兄さんは、お兄様の騎士団の団長なんだよね。

 だったら今、あの部屋の中にいるのかな?

 ……揉めたりはしていないよね?

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