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ココとアンジェリカ~前編~

今回はシャムロックの王妹になったココが主役です。

「馬車で行きたかったけれど、城門までの道がお祭り好きのデッドネットルの民で溢れているらしいの。気をつけて歩いて行きましょう。目の前だからすぐに着くわ」


 お母様が優しく話しかけてくれる。

 ばあちゃんとは大違いだな。

 上品で穏やかだ。

 ばあちゃんだったら……


「まったく邪魔な奴らのせいで歩かなきゃならないだろ! わざとぶつかって金でも要求するか?」


 とか言うだろうね……


「ココ様は、この爺と行きましょう。こう見えても強いのですよ」


 いつも、わたしのお世話をしてくれているおじいちゃんだ。


「うん。ありがとう」


「ココちゃん? もしも、はぐれてしまったら城門で待ち合わせをしましょう」


「うん。お母様、スリがいるかもしれないからローブを着て行った方がいいかな?」


「ココちゃんは賢いわね。皆でローブを着ましょう」


 こうして、タウンハウスからお城に歩いて行く事になった。


 石畳の道はたくさんの人で身動きが取れないくらいだ。

 ただでさえコルセットで苦しいのに……


「お母様……大丈夫?」


 あれ?

 後ろから来ているはずのお母様がいない?

 もしかして、もうはぐれちゃった!?

 

「おじいちゃん? お母様とはぐれちゃったみたいだよ?」


 って、隣にいたからおじいちゃんだと思っていたけど全然知らない人だよ!?

 わたし……

 迷子になってる!?


 とりあえず、迷った時は城門に向かえ!

 だよね?

 でも……

 なかなか前に進めないよ。


「キャッ」


 ローブを着た女性にぶつかっちゃった。


「ごめんね? 大丈夫?」


 とりあえず謝らないと……


「こちらこそ申し訳ありませんでした。お怪我はありませんか?」


「うん。わたしは平気だよ? ごめんね。家族とはぐれちゃって城門に急いでいたから、ぶつかっちゃったの」


「城門に? わたしも城門に向かっていて……恥ずかしながらわたしも供の者とはぐれてしまいまして……」


「え? 同じだね」


「はい……」


「「あははっ!」」


「わたしはココ。あなたは?」


「わたしはアンジェリカです」


「アンジェリカちゃん? かわいい名前だね」


「ココさんも素敵な名です」


「さんなんて、つけなくていいよ?」


「え? ですが……」


「敬語も使わなくていいよ?」


「あ……えへへ。嬉しいな。本当はわたし、かなり無理してお淑やかにしてたの」


「そうなの!? 大変だね。家の人が厳しいの?」


「うん……立場的に、きちんとしないといけなくて」


「そっかあ。じゃあ、今はわたし達二人だけだから素のアンジェリカちゃんでいようよ。ずっと、お淑やかにしているなんて疲れちゃうよ」


「ありがとう! 嬉しいな。国には、こんな風に話せる人がいないから」


「アンジェリカちゃんはデッドネットルの人じゃないの?」


「うん。リコリス王国から来たの」


「え? リコリスから?」


「うん。色々あってね、気晴らしにデッドネットルに行こうって事になって。ココちゃんは?」


「わたしはシャムロックから来たの」


「シャムロック? リコリス王と、ル……聖女様の連れ去られたお母様の国?」


 今、ルゥって言おうとした?


「あれ? もしかして、ルゥの知り合いなの?」


「え? ココちゃんもルゥ様の知り合いなの?」


「うん。最近会ったばかりだけど友達になったの」


「わたしも。危ないところを助けてもらって……さらに危なくなったところをルゥ様に友達だって言って助けてもらったの」


「さらに危なくなったところを? 何があったの?」


「うん……それがね?」


「お嬢様!? やっと見つけた!」


 従者みたいな男の子がアンジェリカちゃんを見つけて喜んでいる。


「あぁ……(楽しかったのに)」


 アンジェリカちゃん……

 残念そうだね。

『お嬢様』か……

 もしかして、お貴族様!?

 でも、お貴族様ならぶつかっただけで大騒ぎするはずだよね?

 リコリスのお金持ちの家の子なのかな?

 

 アンジェリカがルゥに出会った時のお話は

 2022/12/29投稿 276話

 第二部ルーと愉快な仲間達編『リコリス王国にお出かけ(5)』

 に書かれています。

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