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世界の果て

今回はシャムロックの王妹になったココが主役です。

 シャムロックの前王であるお父様は海に出ているらしくて一度も会った事が無い。

 お母様の話だと、ヘリオスにもルゥにも会っていないみたい。

 

「お母様……お父様はわたしが娘になっても嫌じゃないかな?」


「え? ふふ。こんなにかわいい娘ができて喜ぶはずよ。デッドネットルにルゥちゃんが浄化に行くらしいの。ヘリオスも行くみたいだし、二人の事は知らせてあるから、もしかしたらどこかで聞きつけて会いに来るかもしれないわね……(あのバカが)」


 ん?

 お母様、今小声であのバカって言った?

 まさかね。

 こんな上品なお母様がそんな事を言うはずないよ。

 聞き間違いだよね。

 デッドネットル王はお父様と仲がいいらしい。

 お父様はシャムロックに帰って来るとお母様に怒られるからデッドネットル王にお世話になっているみたいなんだ。


「お父様はどんな人なの? やっぱり王様だったから威厳があってカッコいいのかな?」


「……あぁ、そうね。夢を追いかける子供……? 大人になりきれない老人? かしらね」


「え? それは、どういう……?」


「あのバカ、世界の果てを見たいって言って船旅に出たの。リコリス王国に奇襲をかけた時もいないし。本当に困った人なのよ」


「……世界の果て? それなら、ルゥの住んでいる島の辺りがそうだよ?」


「……! そうなの? 死の島が幸せの島になったのよね? わたくしも二度行ったのよ?」


「お父様は探しても辿り着けないけど、お母様は二度も行ったんだね」


「ふふ。国を放り出して遊んでいるバチが当たったのね」


 お母様……嬉しそうだね。


「でも、どうして幸せの島が世界の果てなのかしら? 確かに地図では隅にあるけれど……」


「あぁ……あのね? 内緒にして欲しいんだけど……幸せの島の奥にはまだ島があるの」


「え? 皆が知らない島っていう事?」


「ううん。地図にある島だよ。この世界は丸くてね、地図の端と端がくっついているんだって」


「え? そんな事があるの?」


「わたしも最近まで信じてなかったんだけど、世界の端にある幸せの島のすぐ隣に、地図の反対の端にある島があるって知ったの」


「そうなの……世界には不思議な事があるのね……今度行ってみようかしら」


「その島の人とルゥは仲良しみたいだよ? わたしも遊びに行ってみたいな」


 ルゥと一緒にいると楽しいんだよね。


「そうね。浄化の旅が終わったら皆で行ってみましょうか」


「でも……あの辺りは乱暴な魚族がたくさんいるから……」


「あら、大丈夫よ? 皆ルゥちゃんのお友達だから」


「え? 乱暴な魚族が友達!?」


 すごい……

 魔族の中で育ったからかな?

 ルゥも聖女ってだけじゃなくて、強そうだったし……

 あんなにかわいくて強くてその上、凶悪な魔族を友達にしちゃうなんて……

 完璧な聖女様だよ。

 ……変態だって事実を抜かせばね。

 ヒヨコ様に鼻血を垂らすほどの変態的な愛情がある事は、お母様には黙っておこう。

 そこもかわいいんだけどね……

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