久々の再会

「ええ!?　いいなぁ晴太郎（はれたろう）も行くの？　いいなぁ！　いいなぁ！」

　神様のお父様が、いつの間にか第三地区に来ている。

「ゼウスはダメよ？」

「ルゥの邪魔になるでしょ？」

「一緒に、ここで見守る約束でしょ？」

　お母様とヘラとヘスティアも来てくれている。

　吉田のおじいちゃんは晴れた日に産まれたから晴太郎なんだよね。

　空にちなんだ名前を考えるのも大変だったんだろうな……

「天ちゃんは留守番だなぁ！　あははは」

　吉田のおじいちゃん……

　自分だけ行けるから優越感が溢れ出している。

　群馬にいた頃から、田中のおじいちゃんだったお父様と吉田のおじいちゃんは仲良しだったよね。

　いつも一緒に遊んでいたし。

　楽しい事が大好きでいつも笑っていて、こっそりエッチな本を見ているところがそっくりだった。

　唯一違うのは裸踊りをするかしないかだったよね。

　お父様はこれでも一応神様だから……

　裸踊りはしない……よね？

「晴太郎ばっかりずるいよぉ！　ルー！　お父様も行きたいよぉ！」

「天ちゃんは留守番だ！　ちゃあんと、土産を買ってくるからなぁ！　あははは！」

　いや、吉田のおじいちゃんも留守番して欲しいんだけど。

「では、そろそろデッドネットルに行きましょう」

　え？

　この声は……

　お兄ちゃんが『前ウェアウルフ王』だった時の側付きのおじちゃんだ。

「ウェアウルフのおじちゃん！　あ、ウェアウルフ王になったんだよね。久しぶり！」

「聖女様……すっかりご無沙汰してしまいまして。お元気そうでなによりです」

　相変わらず優しい笑顔だ。

　王様になっても変わらないんだね。

「ウェアウルフ王も元気そうで嬉しいよ。今日は浄化に一緒に来てくれるの？」

「はい。聖女様と人間の国に行くとは……不思議ですね」

「そうだね。王様になったばかりで忙しいのに、ありがとう」

「聖女様の為ならば、どこへでも喜んで付いて行きます」

　あ……

　しっぽが揺れている。

　ウェアウルフ王がそれに気づいて恥ずかしそうにしている。

　かわいいなぁ。

「聖女様、わたしもお供します」

　ん？

　この声は……

「ベリス王？　来てくれたの？」

　ベリス王は来てくれないかと思っていたけど……

　

「はい。全魔族王会議の時は……」

　申し訳なさそうにしているね。

「気にしないで？　あの時の怪我は大丈夫？」

　ハデスに、かなり酷くやられていたけど……

「はい。問題ありません。デッドネットルに浄化に行くと聞き、心配で……」

「え？　心配？」

「はい。デッドネットル王は陽気な祭り好きとして知られていますが、油断ならない男です。わたしが言うのも差し出がましいのですが……デッドネットル王には気を許さないでください」

　ベリス王……？

　どういう事？