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ベリアルと家族~後編~

「オレ……怖くて言えなかったんだ。家族だと思ってるって言って、お前は家族じゃないって言われるのが怖かった。でも、今なら……うん。今なら言えるよ。この島にいる皆がオレの家族だ!」


 ベリアルは天界で辛い生活をしていたのかな?

 かわいそうに……

 

 ヒヨコちゃんのベリアルを優しく抱き上げる。


「ルゥ……」


 よく見ると、ベリアルのつぶらな瞳が涙でいっぱいになっている。


「ベリアルは、今までもこれからも大切な家族だよ」


 こんな事しか言えない……

 でも、気持ちはきっと伝わるよね。

 わたし達は家族なんだから。


「……うん。あれ? 何の話をしてたっけ?」


 気持ちが落ち着いたベリアルが、思い出そうとしている。


「……何の話だったかな?」


 確か……

 あれ?

 なんだっけ?


「……いや、だからなぁ? じいちゃんを今日浄化するデッドネットル王国に連れて行って欲しいって話をなぁ?」


 吉田のおじいちゃん……

 そうだった。

 

「……ダメだよ。デッドネットル王はお祭り好きなんだって。吉田のおじいちゃん……集落の春のお祭りで裸踊りをしていたよね?」


「え? してた……かな?」


 ごまかそうとしているね。


「夏のお祭りでも裸踊りをしていたよね?」


「……して……たかな?」


「秋のお祭り……」


「してた! 毎回してたよおぉぉ! でも、行きたいのぉ! いい子にしてるからぁ!」


 子供みたいだね……


「……いい子? 授業参観の時もそう言って出席していたけど、毎回先生に追い出されていたよね!?」


「今回は、ちゃんとするからぁ! ルーちゃあぁぁん! お願いぃぃ!」


 ううぅ……

 潤んだ瞳で見つめられている。

 大好きな吉田のおじいちゃんのお願いだから聞いてあげたいけど……

 

「月海……連れてってやろう。オレがちゃんと見張ってるから」


 おばあちゃん……

 わたしだって連れて行ってあげたいよ。


「聖女様……連れて行ってあげましょう」


 前ウェアウルフ王のお兄ちゃんまで……

 あれ?

 涙ぐんでいる!?

 さっきのベリアルの話に感動したんだね……


「わたしだって……できれば連れて行きたいよ。でも……」


「やったぁ! ルーがいいって言ったぞ!? やっほーい!」


 え?

 おじいちゃん!?

 いや、まだ話の途中で……

 

「よかったな! じいちゃん!」


 ベリアルまで嬉しそうにしている!?


「よかったなぁ、土産買って来てくれ」

「何が名物なんだ?」

「旨いもんがいいなぁ」


 第三地区の皆まで!?

 あぁ……

 連れて行く事になっちゃった……


 ……嫌な予感がする。

 この泣き落としからの付いて来る流れ……

 前世での授業参観に無理矢理付いて来た時と同じだ。

 

 今日の浄化も一波乱ありそうだね……

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