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ハーピー族の島

 ハーピー族の島へ向かう海の中___

 

 じいじの魔術で海中でも息ができる。

 泳がなくても引っ張られるように前に進めるから皆、海の景色に見とれている。


 綺麗に透き通る海。

 小さい魚の群れがキラキラしている。

 マンドラゴラの子供達は、はぐれないようにバスケットに入って顔だけ出して海を見ている。

 ダディはわたしに抱っこされて海を見ながら大興奮。

 楽しそうに瞳をキラキラ輝かせている。

 

 ママは、他のハーピー族と一緒に空を飛んでいる。

 ピーちゃんはパパの肩でボーっとしているね。


「ピーちゃん、大丈夫?」


「ヒメサマ! ピーチャン、ヒメサマガイイデス!」


 そう言われても元々族長の鳥だったわけだし……

 やっぱり従魔契約は解消しないと。

 それから幸せの島に一緒にいられるようにお願いしよう。



「着いたぞ。ルゥ、足元に気をつけるのだ」


 じいじが手を繋いでくれる。

 ママ達と合流して、ダディもバスケットに入ってハーピー族長の家に歩いて向かう。

 たくさんの大木が島全体を覆っている。

 地面にも太い根が張っている。

 太い木の枝にいた大勢のハーピー族が地面に降りて来る。


「姫様!」

「姫様!」

 

 皆が出迎えてくれる。

 うわあ……

 皆すごく綺麗だ。

 確かハーピー族は美しい種族として知られているんだよね。


「突然来てごめんね。昨日は家を建ててくれてありがとう」


 お礼を言うと、ハーピー族が笑顔になったけど……

 ハーピー族って女性しかいないのかな?

 男性は見た事がない。


 島の中心部の族長の家に着く。

 木と藁でできた家に入ると、ベットに族長が眠っている。

 具合が悪そうだ。

 顔色も悪いし、羽根に艶がない。


「来たか……」 


 族長が目を開ける。

 辛そうだ。


「姫様……わたしはこんな身体で島から出られず……」


 すごく辛そう。

 わたしの血で元気になれたら……


「姫様。それはいけません」


 え?

 

「姫様が何を考えているか……顔を見れば分かります。長く生きていますから……それに、わたしは自ら望んでこうなったのです」


 ……?


「鳥よ、お前も自ら選んだのか……」


 ピーちゃんが族長のベットに乗って申し訳なさそうにしている。


「姫様……この鳥はかわいそうな子なのです。時々、魔族なのに小鳥の姿で生まれる者がいます。そういう者は出来損ないと言われ食われてしまいます。この子は、その時わたしが従魔にして助けた鳥なのです」


 ……そんな事があったんだね。

 やっぱり、ピーちゃんとの従魔関係を解消して族長に返さないと。

 

「姫様……この子を頼めますか? わたしにはもう時間が残されていないようです。それに、この子はハーピー族とグリフォン族の鳥ではないのです。誰か強い者が守らなければ……」


 かなり辛そうだ。

 

 心配そうなわたしの顔を見ながら族長が話を続ける。


「姫様、魔族の身体は若いままで老いる事はありません。そして、その姿のまま永遠の時を生きる。……わたしは自ら長い寿命を縮めました。……死にたかったのです」


 死にたかった……?

 族長の目から涙がこぼれている。


「姫様、聞いてください。この老いぼれの昔話を」 


 そう言うと、族長は目を閉じ話し始めた。

 人間との悲しい恋物語を……

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