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浄化の準備と吉田のおじいちゃん

 日の出と共に目が覚めると、ハデスを起こさないようにそっとベットから出る。

 常夏の幸せの島でも、朝は涼しい風が吹く。

 デッドネットル王国での浄化の為に、第三地区の床屋のあんねぇの所に向かう。

 聖女らしく見えるように、身支度の手伝いをしてもらう事になっているんだ。


 昨日は急いでアルストロメリア王国から帰って来たけど、今日は海賊のココちゃんがこっそり来てくれるみたいなんだよね。

 少しだけでも話ができたら嬉しいんだけどな……


「おお! ルーは聖女様に変身中か……あははは!」


 第三地区の広場にある鏡の前で髪を整えてもらっていると、吉田のおじいちゃんが起きてくる。


「うん。おはよう。今日は……浄化に付いて来ないよね?」


「ん? オレにその気がなくても、気づくと付いて行ってるんだよなぁ……」


 吉田のおじいちゃん……

 真剣な顔をしてごまかそうとしているけど、確実に付いて来るつもりだね。

 明らかに普段より良い服を着ているよ?

 お兄様に、今日のデッドネットル王は大丈夫だけど明日のマグノリア王には気をつけるように言われたんだよね。

 デッドネットル王は楽しい事が好きな王様らしいんだ。

 吉田のおじいちゃんと気が合いそうだけど……

 相手は王様だからね。

 失礼があったら『打ち首』なんて事もあるから。

 創り物の吉田のおじいちゃんの首から下の身体が切り落とされた首を拾って裸踊りを始める、なんて事になったら大変だよ。

 

「吉田のおじいちゃん……付いて来てわたしやおばあちゃんを守りたいって言ってくれるのは嬉しいんだけど、何かやらかして打ち首とか……そんなのは嫌なの」


「ルー、オレの身体は創り物だから平気だぞ?」


「おじいちゃん……永遠に牢屋にいるなんて嫌でしょ? わたしには、そんなの耐えられないよ。おじいちゃんは大切な家族だから……群馬にいた頃から、ずっと大切なんだよ?」


「そうか……でもな? オレは本当に付いて行くつもりがないのに、気づくと付いて行ってるんだ……」


 おじいちゃん……

 この、やたら真面目な顔……

 嘘をごまかしたい時の顔だね。


「じいちゃん! 今日の浄化に、こっそり付いて行く作戦を教えてくれよ! 今日もチョコ入りマシュマロあるよな?」


 ヒヨコちゃんのベリアルが空を飛びながら秘密を暴露しているよ……

 チョコマシュマロで言う事を聞くなんて……

 かわいいっ!


「……おじいちゃん。本当に付いて来るつもりはないんだよね?」


 やっぱり、ベリアルに協力してもらっていたんだね……


「……ルーちゃあぁぁん。じいちゃんも行きたいよぉ? お願いぃぃ! ぐすんっ」


 今度は泣き落としか……

 おじいちゃんの為なんだから、分かってよ……


「ダメダメ! ぜーったいダメー!」


 とは言ったけど。

 これは……

 絶対に付いて来るやつだ。

 波乱の予感……

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