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わたしもあなたも皆変態。さぁ一緒にモフモフを吸おうよ~前編~

「うまああぁぁい!」


 ヒヨコちゃんのベリアルがご機嫌でお菓子を食べている。

 あぁ……

 かわいい……

 さっきお腹いっぱい夕飯を食べていたけど、お菓子は別腹なのかな?

 見た目はヒヨコちゃんだけど普通の鳥と違って食べた物が『そのう』じゃなくて胃袋に入るみたいなんだよね。

 空も飛べるし、お菓子を食べても病気にならないし、やっぱりヒヨコちゃんじゃなくて天使なんだね。


 コンコン


 誰かがお兄様の寝室の扉をノックした?


「あれ? ルゥ?」


 お兄様が寝室に入ってきた。


「お兄様! おかえりなさい!」


「ルゥゥゥ! かわいいっ! 世界一かわいいよお!」


 シスコンモードのお兄様に抱きしめられる。


「お兄様……」


 すごい勢いで髪をスーハーされている……

 ベリアルもこんな気持ちなのか……

 いつも吸っている方だから、吸われる方の気持ちが初めて分かったよ。

 複雑な心境だ……


 あれ?

 海賊の皆がいつの間にかいなくなっている?


「ぴよたん……」


 え?

 ぴよたん?

 この人間……

 この前、来た時にキャラメルでベリアルを餌付けしていた変態のプロ?

 ……!?

 お菓子に夢中になっているヒヨコちゃんのベリアルの後頭部に吸いついている!?

 すごい!

 完全に気配が消えている!

 プロだ!

 鳥吸いのプロだ!

 しかも、ベリアルは吸われている事に全く気づいていない!?

 なんてすごい技なの!?

 師匠だ!

 この人間は鳥吸いの師匠だ!


「ん? なんか頭が生ぬるいな……?」


 ベリアルが振り向く数秒前にプロが吸うのをやめて距離をとった!?

 なんて早業なの……

 勝てない。

 わたしもかなり上手に気配を消せるようになったけど、プロの足元にも及ばない……

 わたしは……まだまだだ……


「ルゥ? どうしたの? 顔色が悪いよ?」


 お兄様が、落ち込むわたしを心配してくれている。


「え? あぁ……違うの。上には上がいるんだなって思って……」


「上には上がいる……? どういう事?」


「(今、ベリアルは背後から吸われていた事に気づいていなかったんだよ。これはすごい事だよ? プロなんだよ。鳥吸いのプロなの! )」


「あぁ……耳元で世界一かわいいルゥがささやいている……」


「え? お兄様? あの……大丈夫?」


 顔が……

 これ以上ないほど、にやけている……

 王様モードの時とは大違いだ。


「うんっ! 聞いてる聞いてるぅ!」


 お兄様、これが本当の姿なのか……

 ずっと抱きしめられたままで離してくれないし、スーハーされっぱなしだよ。


「お兄様……このプロの人間には、今のお兄様の姿を見られても平気なの?」


「え? うんっ! 平気だよ? 宰相も変態仲間だから!」


「変態仲間……?」


「うんっ! お兄様はルゥがかわいくて仕方がない変態で、宰相はフワフワの生き物が大好きな変態なんだ。お互い薄々勘づいてはいたんだけどね。この前のあの時にカミングアウトしたんだ」


 薄々勘づくものだよね……

 同じ匂いがするっていうか……


「サイショウさん? は側付きなのかな?」


「宰相は役職だよ? 国政の補佐をしてくれているんだ。だから『さん』はいらないんだよ? あぁ……かわいい……スーハー……」


 お兄様……

 ……がっつり吸ってくるね。


「……そうなんだね。えっと、宰相……実はね、わたしもモフモフ好きの……変態なの……」


 恥ずかしいよ……

 聖女で王妹で前ヴォジャノーイ王妃が変態なんて……

 でも、わたしもカミングアウトして楽になりたい……

 そして……

 あの高度な鳥吸いの技を伝授してもらいたいんだよっ!

「この前のあの時」は

 2023/1/13 307話

 第二部ルーと愉快な仲間達編

 『ティータイム(13)』

 の時のお話です。

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