表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/402

ピーちゃんの秘密

「あれ? パパ、ピーちゃんは?」


 翌朝、パパの肩にピーちゃんがいない事に気づく。

 最近はずっとパパの肩にいたのに。

 また木の上に戻っちゃったのかな?


「昨日、魔族達が頭を撫でてもらった後にハーピー族と一緒に帰ったんだ。族長に診てもらう為にな」


 リビングで、マンドラゴラの赤ちゃんに木の実を食べさせながらママが教えてくれたけど……

 ママは口では怖い事を言うけど、本当はすごく優しいんだよね。


「今日中に帰ってくるかな? 病気とかじゃないかな?」


 心配だよ。


「すぐ帰ってくるから大丈夫だ」


 すぐに?

 あぁ……

 どこも悪くないといいけど。


 

 お昼過ぎ___

 

 マンドラゴラ達と洗濯を始める。

 木の桶にせっけんを泡立てて洗濯するとシャボン玉ができるんだよね。

 マンドラゴラ達がシャボン玉を追いかけている。

 ダディも楽しそうに追いかけているね。

 かわいいな。


「ヒメサマ、タスケテー!」


 砂浜に鳥の影が見える?

 ピーちゃんが帰ってきたんだ!

 でも『助けて』って?


 空を見上げるとピーちゃんがハーピー族二人に追われている。


 え?

 まさか逃げてきた?


 マンドラゴラの赤ちゃんとお姉ちゃんが怖くて泣き出しちゃったよ。


「ギャアー!」

「ギュエー!」


 耳が!

 鼓膜が破れそう!!


 あれ?

 怖がっているんじゃなくて興奮しているようにも見える?

 

「やめろ! マンドラゴラが怖がっているだろう!」


 ママが慌てて家から出てきたね。

 

「ルゥ、耳は平気か?」


 耳を押さえているわたしを見たママが心配して抱きしめてくれたけど、マンドラゴラ達は大丈夫かな?


「うん。わたしは平気。マンドラゴラ達もおいで……」


 マンドラゴラ達がチョコチョコ歩いて抱きついてくる。

 小さくてかわいくて、守ってあげたくなるよ。


「すまない。こいつが逃げやがったんだ!」


 髪と瞳が黒いハーピー族が空から叫んでいる。


「族長に会わせたらいきなり逃げたんだ。よし捕まえた!」


 赤黒い瞳と黒い髪のハーピー族がピーちゃんを捕まえたね。


「こいつ、族長との従魔契約を解消してたんだ!」


 逃げようとするピーちゃんを押さえながら話しているけど……


「はぁあ!? そんな事ができるのか!?」 


 ママがかなり驚いているね。

 

 従魔契約の解消って確か……

 主人が死ぬか、主人と従魔がお互いに契約を解消しないとできないんじゃなかった?

 ピーちゃんだけの意思ではできないはず。


「族長の息が少しの間、止まった事があったんだ。たぶんその時解消してたんだ」

「こいつ、それを分かってて黙ってたんだ。しかも新しい名をもらってそれを受け入れてたんだ!」


 え?

 それってもしかして……

 わたしがつけたピーちゃんっていう名前?

 どうしよう……


「ごめんなさい。わたしがピーちゃんって呼んじゃったの」


 わたしが謝ったから、ハーピー族の二人が慌て始めたみたいだ。

 

「姫様のせいじゃないです。こいつが名を受け入れたからなんです!」

「そうですよ。こいつ怒られるのが嫌で逃げ回ってたんです」


 二人はそう言ってくれるけど……

 やっぱり、わたしのせいだよ。


「ママ。わたし、ピーちゃんとの従魔契約を解消して族長に謝りたいの。ピーちゃんとは従魔としてじゃなく、友達として一緒にいたいの」 


「ヒメサマ! イヤダイヤダ! ヒメサマガ、イイヨォ!」


 ピーちゃんが捕まっているハーピー族の腕から逃げ出して、わたしの肩に飛んできた。


 あれ?

 また大きくなった?

 

「今からハーピー族の島へ行こう」


 じいじが、お出かけから帰ってきたんだね。

 全部聞いていたのかな?


「エエー!?」


 ピーちゃんが嫌そうに大声で叫んだけど……

 やっぱり変だよ。

 昨日の朝よりかなり大きくなっている。

 悪い病気じゃないかだけでも診てもらわないと。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ