金ピカのお城とかわいいヒヨコ
「伯父上、伯母上、皆さんも中でお茶にしませんか? ドラゴン王は……お酒の代わりにブドウジュースでもいかがですか?」
ヴォジャノーイ王が城内に案内してくれる。
「ジュース……仕方ないわね。今日のところは我慢するわ」
よかった。
ばあばも納得してくれたんだね。
今日の我慢が、お父さんの誕生日の宴で爆発しないといいけど……
「うわあぁ! ピッカピカだなぁ! あははは」
「目がチカチカするなぁ! あははは」
吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが黄金の城内の眩しさにやられている。
「これは……眩しい……ハデス様が王だった頃とはだいぶ城内が変わりましたね」
元ハーピー族長だったおあいちゃんが眩しそうにしている。
ハデスが王様だった頃は金ピカじゃなかったんだね。
それにしても……
おばあちゃんと吉田のおじいちゃんと野田のおじいちゃんがヴォジャノーイ王国でマンドラゴラになっていなくてよかったよ……
あの時、ご飯にされていたかもしれないと思うとぞっとする。
「これはすごいな……目が開けていられない……」
「うぅ……」
「目が痛い……」
ケルベロス王の三つの頭が黄金の輝きに耐えられないみたいだ……
「この先の部屋は金をあまり使っていないので……」
ヴォジャノーイ王が扉を開けると落ち着いたシックな内装の部屋が見える。
「おお! この部屋は金ピカじゃねぇんだなぁ。あははは」
「目が落ち着くなぁ。あははは」
おばあちゃんと吉田のおじいちゃんが目をショボショボさせながら話している。
こんな落ち着ける部屋があったなんて……
全部金ピカじゃなくてよかったよ。
「皆さん、座ってください。お茶にしましょう。伯母上、お菓子もたくさん用意してありますよ?」
「「お菓子!? やったぁ!」」
え?
わたしと同じ事を言ったのは……
「お菓子っ! お菓子っ!」
やっぱりベリアルだ!
水晶で見ているって言っていたから、お菓子につられて空間移動をしてきたのかな……
ふふふ。
わたしのかわいいヒヨコちゃん。
ちょうどいいところに来たね。
この疲れを癒すにはモフモフが必要なんだよ。
「これ、全部食べていいのか?」
「伯母上の分は残してくださいね?」
「うん! 分かった! サクッ! うまああぁい!」
あぁ……
ヒヨコちゃんのつぶらな瞳が輝いているね。
じゃあ、さっそく後ろから吸わせてもらおうか……
毎日ベリアルに気づかれないように近づいているおかげで、かなり上手く気配を消せるようになったんだよね。
今も、ほら。
全然気づかれていない。
「サクッ! これもうまああぁい!」
ふふふ。
いただきまーす!
ベリアルの後頭部に顔をうずめる。
「……!? ルゥ!? お前……何してるんだ?」
「えへへ。吸っているの! スーハー」
「やめろ! 変態め!」
「今日は良い子にしていて疲れちゃったの! 少しだけでいいから吸わせてよぉ! スーハー……あは……あははは……堪らないね……」
「やめろおぉ! ばあちゃん助けてぇ!」
「あははは! 若いっていいなぁ」
「ルーは今日も安定の変態だなぁ! あははは」
「やっぱりルーは、こうじゃねぇとなぁ! あははは」
えへへ。
なんて言われたっていいよ。
かわいいヒヨコちゃんを吸えるなら変態だって構わないんだから。
そういえば、お兄様のファンらしい人間がうちわ的な物にリコリス王ラブとか書いていたよね。
わたしもモフモフラブって書いて愛を叫びたいよ……




