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久しぶりのばあばとの時間

「伯父上……少し相談したい事が……」


「まだ、わたしに頼るつもりか?」


 ばあばの背中で、ハデスが呆れながらも少しだけ嬉しそうにしている。


 かわいい甥に頼られて嬉しいんだね。

 少しだけ口角が上がっている。

 ヴォジャノーイ王もそれに気づいて嬉しそうにしているね。


「じゃあ、わたしはばあばと話しているね」


 邪魔をしたら悪いからね。


「ふふ。ルゥも大人になったわね」


 ばあばが嬉しそうに話し始める。


「大人? えへへ。ハデスの隣に立つのに恥ずかしくないように……頑張って……いたような、いないような……」 


 変態街道まっしぐらだった……なんて恥ずかしくて言えないよ。


「いいのよ? 無理して自分を偽ってまで急いで大人になる事はないのよ」


「ばあば……うん。でもね……最近、変態がとまらないの」


「ふふ。かわいくていいじゃないの。気にする事ないわ」


「うーん……でもね? 鼻血とか垂らしちゃうのは恥ずかしいよ……」


「鼻血? ……あははっ! いいじゃないの! 今度見せてね」


「え? 嫌だよ……恥ずかしいよ……」


「……ルゥ」


「うん?」


「前の世界の集落だけどね……」


「うん」


 ばあばとおじいちゃんは前の世界の集落でわたしが暮らしていた家を拠点に群馬の温泉巡りをしているんだよね。


「おじいさんが数日前に一人亡くなったけど……さっき確認したらこっちの第三地区には来ていなかったの」


「え? そうなの?」


「神が……天族に近い身体を作り出す為の集落だったでしょう? そのおじいさんも天族の血が流れていたけど魂はこっちには来ていなかったの。天族の血をひいているからこっちに来たわけではなかったのね」


「……そうなんだね。わたしが集落にいなくなって用が済んだから……これからはもう第三地区に、前の世界の集落の皆が来る事はないのかな?」


「シームルグの母親は……連れて来てあげたいわね」


「……選別をするみたいで嫌だけど……連れて来てあげたいよ……」


「……ごめんなさい。聞かせようか迷ったんだけど……知らせておいた方がいいと思ってね」


「ありがとう。教えてもらえてよかったよ……」


「ルゥ……強くなったわね。立派よ……」


「立派?」


「ええ……これで安心して温泉巡りができるわ。グンマの温泉は最高よ」


「ばあばは、お肌がツルツルだね」


「ふふ。温泉のおかげよ。驚いたわ。ルゥが魔素を祓う旅に出ているってハーピーから聞いてね。しかも、ヨシダさんも一緒に来ているって魔王が大騒ぎしていたわよ」


「お父さんが……?」


「ええ……人間との全面戦争になるかもってね……」


「人間との全面戦争?」


「絶対にヨシダさんは捕まるから取り戻しに行かないとってね」


「絶対に捕まる……わたしも同じ事を考えていたよ。ばあばが来てくれなかったら危なかったかも……」


「あらあら、それはよかったわ。ふふ。あ、見えてきたわ。ヴォジャノーイ王国よ」


 ドラゴンは飛ぶのが速いからあっという間に着いちゃうね。

 久しぶりのヴォジャノーイ王国だ。

 楽しみだな。

 そういえば、お父さんはヴォジャノーイ王国でマンドラゴラの姿になったんだよね。

 その後すぐに、幸せの島がマンドラゴラだらけになって……

 懐かしいな……

 ずいぶん前の事みたいに感じるよ。

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