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色々バレる前に帰ろう!

 ドラゴン王のばあばとブラックドラゴンのおじいちゃんが降り立った広場に着くと人間達が恐怖で悲鳴をあげて逃げ惑っている。

 大変な事になっちゃったね。


「皆さん、落ち着いてください! わたくしは聖女……このアルストロメリアの魔素を祓いに来ました」


 聖女らしく!

 落ち着いて!

 わたしならできる!

 少しの間だけ立派な聖女になるんだ。


「聖女様……このドラゴンは……?」


 アルストロメリア王が震えながら尋ねてきた。


「わたくしの祖母です。ドラゴン王とは赤ん坊の頃から実の家族のように暮らしています。今は人間に襲いかかるような事はありません」


 今は……ね。

 わたしがいない時は食べているみたいだけど……


「本当に……? 友好的なドラゴン……という事ですか?」


「……それは違います。わたくしを迎えに来たのです」


 ドラゴンにとって人間は食糧だからね。

 友好的か……

 難しいね……

 わたしには優しいばあばでも、他の人間は食べ物に見えるだろうから……


「聖女様のお迎えに……? もうお帰りに?」


 王様が残念そうにしている。

 宴が始まるって言っていたし……

 王様が裸になってハックショイ記念の宴……だっけ?

 確実に吉田のおじいちゃんが裸踊りをして捕まるやつだよ。

 絶対に参加はさせられない……


「はい……聖女として……やらねばならぬ事が山積しています」


 家に帰ってハーピーちゃんとベリアルを吸わないと……

 この疲れを癒す為にはそれしかないよ。

 にやけないで!

 わたしの表情筋よ!

 今だけ堪えて!

 聖女らしく微笑むんだよ!


「聖女様……なんと神々しい……日々、人々の為に祈りを捧げ平穏を……」


 え?

 人々の為に祈る!?

 まだ王様が美化されたわたしの姿を話しているけど……

 聖女ってそういうものなの!?

 知らなかった……

 

「ぷはっ!」


 吉田のおじいちゃんが耐えきれずに吹き出した!?

 まずい……

 わたしの変態ぶりをバラされる前に帰るよ!


「それでは、魔素も祓い終えましたので……」


「ルー、トカゲには皆乗りきれねぇだろ? オレ達二人は風の力で飛んで行くぞ?」


 え?

 吉田のおじいちゃん?

 空を飛ぶって……?


 吉田のおじいちゃんが、ケルベロス王にまたがったまま空に浮かび上がる。


 ……!?

 風の力でそんな事までできるの!?

 ケルベロス王も驚いているよ!?

 

「あぁ! 救世主様! なんと……伝説の通りだ!」

「聖女様と救世主様が同時に現れた……今日という日は、また伝説となり後世に語り継がれるだろう!」

「時代の生き証人になったんだ!」


 あぁ……

 アルストロメリアの民が騒ぎ始めている。 

 

「救世主様! 本当にありがとうございました! これからも我がアルストロメリアは救世主様を絶対に忘れません!」


 アルストロメリア王が、空に浮かび上がる吉田のおじいちゃんに大声でお礼を言っている。

 おじいちゃんは天使でもないし、ケルベロス王も伝説のお犬様じゃないんだけどな……


 アルストロメリアは遥か昔からずっと、この国の危機に現れた救世主を国旗にするほど敬愛しているのか……

 わたしの……

 ペルセポネのお兄さんか弟……?

 どんな天使なのかな?

 でも、ハデスが人間とお父様との子供って言っていたような……

 じゃあ、天界には入れないんだよね?

 いつか会えたら……

 天界に入れない者同士仲良くなれたら嬉しいな。

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