モフモフ沼に、はまろうよ!
「……聖女様、あの……お顔が……」
イフリート王がわたしの、にやけきった顔を見て動揺している!?
あぁ……
わたしの聖女としての立派なイメージが崩れていく……
「イフリート王……知ってしまったんだね……わたしの秘密を……」
真面目で立派なイフリート王には知られたくなかったよ……
「聖女様の秘密? それは一体……?」
深刻な顔でわたしを見つめている。
恥ずかしいけど話すしかないよね……
ケルベロス王は前に吸わせてもらったからわたしが変態……いや、あの……モフモフ好きだって知っているんだ。
この場で知らないのはイフリート王だけか……
「わたしはね……実は……」
「(ゴクリ)はい……まさかどこかお悪いのですか?」
イフリート王が真剣に心配してくれている!?
うぅ……
わたしは、ただの変態なのに……
恥ずかし過ぎるよ。
「わたしは……モフモフしているかわいい子が大好きな……変態なの……」
「……変態? モフモフ……とは?」
「モフモフとはっ!? それはねっ!? フワッフワの毛の生えた生き物……そう! 世界の宝っ! 究極の癒しの存在っ! 一度吸うと、もうその沼からは抜け出せないんだよ!? イフリート王も一緒に吸って撫でて撫で回そうよっ!」
興奮が止まらないよっ!
「沼……? 吸う? ……今度……機会があれば……」
「本当に!? やったぁ! 約束ね?」
「月海……今のは社交辞令だぞ? 顔を見てみろ。困り果ててるぞ?」
おばあちゃんが呆れた顔で話しかけてきたけど……
「おばあちゃん!? そんな事ないもん! 約束したもん! ね? イフリート王? ……違うの?」
もしかして嫌なのに無理矢理約束させちゃったかな?
「え? ……あの……はい……今度……やりましょう」
よかった!
嫌じゃなかったんだ。
「うんっ! 楽しみにしているねっ!」
「……ルゥ、そろそろ向かおう。人間の王が待っているはずだ。すでに浄化を終えた事は皆、分かっているだろうからな」
ハデスの言う通りだね。
お兄様が待っているはず。
人間の四大国のひとつのアルストロメリア王も待っているのか……
お兄様もハデス達も人間の王様には気をつけろって言っていたよね。
怖いのかな?
性格が悪いとか?
「ルゥ、約束を覚えているか?」
「え? うん。出された物は絶対に口にしない。あとは一瞬でも気を抜いたらダメ……だよね?」
「そうだ。リコリス王国以外の三大国の中で一番に浄化する権利を得た国だ。気を抜くな?」
「うん。ちゃんとした聖女に見えるように頑張るよ……」
緊張してきた……
うぅ……
ドキドキする……
「ルゥ、お前顔が怖いぞ?」
ベリアルが心配してくれている!?
かわいいヒヨコちゃんが心配してくれているの!?
「ベリアルが……一回吸わせてくれれば落ち着くかも……」
えへへ……
吸わせて欲しいな……
ちょっとでいいから……
「……オレ帰るわ。眩しいから目を閉じとけよ」
呆れ果てた顔のベリアルが空間移動をして第三地区に帰った!?
「ええっ!? 帰ったの!?」
吉田のおじいちゃんも一緒に帰って欲しかった……
うぅ……
モフモフで元気チャージしたかったけど仕方ないね。
「じゃあ、出発するか。で? 誰がオレをお姫様抱っこしてくれるんだ?」
吉田のおじいちゃん……
わたしも他人をどうこう言えないけど……
お願いだから大人しくしていてね。
裸踊りをしたら捕まっちゃうからね?




