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浄化の旅と吉田のおじいちゃん~後編~

「おじいちゃん……ごめんね? 今から行く場所は危ないし……」


 一番危ないのは、すぐに裸踊りを始める吉田のおじいちゃんだけど……


「じいちゃん強いから! 大丈夫だから! ルーちゃぁん! 一生のお願いだからぁ……ね? 連れてって欲しいなぁ?」


 モジモジしながらお願いされても……


「ルゥ……一番の危険人物だ……」


 ハデスが警戒しているよ。


「うん。絶対に連れて行けないよ……確実に裸になって捕まるよ……」


「ええぇ!? 嫌だ嫌だぁ! 一緒に行くんだぁ! うわあぁん!」


 嘘でしょ……?

 寝っ転がって手足をバタバタさせている……

 小さい子みたいだ……

 見ている方が恥ずかしいよ……


「……月海、かわいそうだから連れてってやろう? ばあちゃんがずっと手を繋いでるから。裸踊りもしねぇように見張っとくから……」


 おばあちゃん!?

 おばあちゃんが吉田のおじいちゃんの味方をしている!?

 さすが恋人同士……


「そうだぞ? じいちゃんがかわいそうだぞ?」


 ……え?

 ベリアル!?

 わたしのかわいいヒヨコちゃん!?

 どうしてここにいるの!?

 今日は留守番のはずだよね!?

 

「連れてってやれよ。かわいそうだろ。さんざん世話になったんだろ」


「ツレテッテヤレヨ、カワイソウダロ、サンザンセワニナッタンダロ」


 ……!?

 ベリアルが吉田のおじいちゃんの後に続いて同じ言葉を話している!?

 しかも、おじいちゃんがベリアルにご褒美のマシュマロを与えている!?

 確実に飼い慣らされている……

 ベリアルは天使なんだよね?

 しかも皆から恐れられていた天使なんだよね!?

 

「ベリアルも分かるでしょ!? 吉田のおじいちゃんを連れて行ったら大変な事に……」


 はっ!

 ベリアルが潤んだキュルキュルのつぶらな瞳で、わたしを見つめている!?


「ルー、大ちゅき」


 吉田のおじいちゃんがベリアルの口にマシュマロを近づけた!?

 また操るつもりか……

 でも残念だね。

 ベリアルは絶対、わたしに『大ちゅき』なんて言わないんだよ!


「ルゥ、ダイチュキ」

 

 ……!?

 べべべベリアルが……

 わたしを大ちゅきいいい!?

 

 わたしの身体から温かい光が溢れ出す。


「あは……あはは……堪らないね、こりゃ……」


 ダメだ……

 完全にやられた……

 昨日に続いて今日もパラダイスだよ……


「ルーちゃぁん。じいちゃんも一緒に行きたいなぁ…」


 吉田のおじいちゃん……

 なかなかの策士だね……


「……いいよ」


 はっ!

 しまった!

 いいよって言っちゃった!?


「やったぁ! うわあぁいい!」


「ルゥ……」


 抱き上げてくれているハデスが残念なものを見る目でわたしを見つめている……


 あぁ……

 こんな変態が妻でごめんね……

 

「月海……浄化が終わってねぇか?」


 え?

 おばあちゃん?

 わたしはまだ何も……って、あれ?

 確かに魔素が祓い終わっている……


「ヒヨコに好かれて嬉しかったんだな」


 雪あん姉の言う通りだ。

 また無意識に浄化をしちゃったね……

 でも……

 一応アルストロメリアの王様に挨拶だけはした方がいいよね?

 吉田のおじいちゃんが裸踊りをする前にさっさと挨拶だけ済ませて帰ろう……

 お兄様も待っているだろうからね。

 はぁ……

 あと二回浄化をするんだよね。

 まさか、毎回吉田のおじいちゃんが付いて来たりしないよね?

 

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