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浄化の旅と吉田のおじいちゃん~前編~

 目を開けるとそこはアルストロメリアだった。


 さすが四大国のひとつだね。

 この世界にしては、かなり高い建物がたくさん建っている。 

 その高いはずの建物が、わたし達のいる場所より低い所に見えている。

 ここは……山頂?


 ……ああ。

 お父様……

 またやらかしたね…… 


「ここ、どこおおぉ!?」


 どこおぉ

 どこおぉ

 どこおぉ


 お父様の声の山びこ!?

 山びこなんて久しぶりに聞いたよ!?


「お父様!? あれ? お父様がいない!?」


 さっきまでここにいたのに!


「あのバカなら逃げたぞ……」


 ハデス……

 もう弟ともゼウスとも呼ばなくなっている……

 当然か……


「えっと……下山してあっちに進めば……町に出そう……だよね?」


 道があるかは分からないけど……


「……ルゥはわたしが」


 え?

 ハデス?

 何が?

 ……!

 ハデスがわたしを抱き上げた。

 もしかして抱っこで下山するのかな?


「お雪さんは、わたしが連れて行きます」


 お兄ちゃんが雪あんねぇを抱き上げる。


「伯母上のおばあ様は、わたしがお連れします」


 ヴォジャノーイ王?

 

「おお! カエル人間は力持ちだなぁ。あはは」


 おばあちゃん……

 楽しそうだね……


「では、お嬢さんはわたしが連れて行こう」

 

 おあいちゃんがイフリート王に抱き上げられる。


「……オレは?」


 え?


「オレは誰が連れて行ってくれるんだ?」


 ……!?

 

「嘘……」


 嘘でしょおおおっ!?

 何で!?

 一番この場にいたらダメな人がいるよおおっ!?


「よっ……!? 吉田のおじいちゃんんん!?」


「いやぁ……お月ちゃんにお別れのチュウをしようかと思ったら一緒に来ちゃったっ! あはっ!」


「あはっ! じゃないよ!? どうしよう、ハデス……」


「……わたしも空間移動をできる事はできるが……失敗すれば身体が半分に裂けるからな……」


 そうだよね。

 もうかなり長い間、空間移動はしていないんだよね……

 やらない方がよさそうだよ。

 

「そうだ! お母様達が水晶で見ているはず! お母様! 吉田のおじいちゃんだけ空間移動……」


「ルーは……じいちゃんの事が嫌いなんか? ううぅ……赤ちゃんの頃から大事に大事にしてきたんに……ううぅ……じいちゃんの事が嫌いか……?」


 ……!?

 途中で話を遮られた!?

 しかも、吉田のおじいちゃん……

 そんな潤んだ瞳で見つめられたら……

 確かに小さい頃からわたしの記憶には吉田のおじいちゃんがいるけど……

 

 集落の春のお祭り……裸踊りをする楽しそうなおじいちゃん。

 集落の夏のお祭り……裸踊りをする楽しそうなおじいちゃん。

 集落の秋のお祭り……裸踊りをする楽しそうなおじいちゃん。

 集落の冬のお祭り……裸踊りをする寒そうなおじいちゃん。


 ……うん。

 常に裸だ……

 絶対に連れて行ったらダメなやつだ。


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