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新しい家族~前編~

 パパに呼ばれて、夜ご飯を食べにリビングに向かう。

 新しい木の香りが気持ちいい新居。

 全く同じに見えたけど、中に入ると前より少し大きくなっているのが分かる。

 廊下の幅も長さも、部屋も少しずつ大きくなった。

 ヴォジャノーイ族のおじちゃん達はすごいなぁ。

 明日こそ、ちゃんと肩たたきをしてあげよう。

 

 それにしても、最近やたらドキドキする。

 今日は水の魔術を使ったからかな?

 精霊が力を貸してくれるけど、使っているのはわたしの光の力なんだ。

 わたしの力を魔法陣を通して水に変えてくれたんだよね。

 今日呼んだのは水の上位精霊だから力を使い過ぎちゃったのかな?


「はぁ……」


 また、ため息をついちゃった。

 疲れているんだ。

 今日は早く寝よう。


 新しくなったリビングに入ると、いつもより少し大きいテーブルと椅子がある。

 それと、おもちゃの小さいテーブルと椅子……?

 そこに人形が座っている?


 あれ?

 マンドラゴラ?

 

 四匹のマンドラゴラが、小さい身体にぴったりの椅子に座って手にはフォークを持っている。

 

 もしかして、朝奇襲されたと思ったけどお腹が空いていただけ?

 ジャムの瓶とかを手に持っていたのも『開けて欲しい』って言っていたのかも。

 すごくかわいい……!

 パパもクルクル回されて焼かれそうだったけど、マンドラゴラにご飯をあげている。


 ……ん?

 そういえばパパは火で炙られていたよね?

 やっぱり、わたしとパパを食べようとしていたんじゃ……

 でも、ここにいるマンドラゴラ達からはそんな感じはしないような……

 

 何を食べているのかな? 

 そっと覗いてみよう。

 小さい木の器に木の実が少しずつ盛られている。

 それを一粒ずつフォークで刺して食べているね。

 小さい手足を嬉しそうにパタパタ動かして……


 うわあぁ!

 かわいい!


「姫様。今日はありがとうございました」


 マンドラゴラの一匹が話し始めた?


 あ……

 しゃべれるんだ。

 悲鳴しか聞いた事がないから……


「わたしは、今日島にいた全てのマンドラゴラのオリジナルです。昨日ヴォジャノーイ王国からオークのバスケットに入ってやって来ました」

 

 昨日?

 食事の時、逃げて来たマンドラゴラがパパのバスケットに隠れていたのかな?


「頭がボーっとして、いつの間にか寝てしまい気がつくと人間の国にいました。見た事のない物ばかりで興奮しました。そして、この島に着き朝になると知らない場所に一人きりで寂しくなってしまい……ついクローンを大量に作り出してしまったのです」


 そうだったんだね。

 わたしがいつの間にか魅了して眠くなっちゃったのかな?

 ひとりぼっちなんて辛いだろうな。

 話していて思ったけど、すごく頭が良さそうだ。


「オークより賢いな!」


 ママ!

 またパパが泣いちゃうよ?


「本当にぃ、おりこうさんだねぇ」


 パパはニコニコだね。

 良かった。

 泣かなかった……


「行く所がないのなら……ここにいればいい」


 じいじがリビングに入りながら話しているけど……

 いいの?

 じいじは嫌がるかと思ったよ。

 それに、すごく優しい顔をしているような?


「本当によろしいのですか? ありがとうございます。これからは皆さんに心より尽くします」


 オリジナルがペコリとお辞儀をすると、他の三匹もお辞儀をする。


 かわいい!

 あまりのかわいさに見入っちゃうよ。

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