ベリアルとルゥ
「うう……お菓子が全部終わっちゃったよぉ」
ベリアルが、昨日のお土産のお菓子を全部食べ終わって悲しそうにしている。
あぁ……
ヒヨコちゃんの姿のベリアルのつぶらな瞳がウルウルになっている。
かわいいっ!
「あらあら、ルゥったらベリアルを見てヨダレを垂らしているわ?」
「お腹が空いたのかしら?」
「違うわよ。かわい過ぎてメロメロになっているのよ。昔からそうだったでしょ?」
ヨダレ!?
しまった!
天使の家族に見られた!?
またやっちゃった!
「あははは! ルーは今日も変態だなぁ」
「安定の変態ぶりだ! あははは」
「ほら、いつもみたいに後ろから吸いつけ! あははは」
第三地区の皆が面白がっているね。
すっかりお馴染みの光景みたいになっている……
わたしって、完全に変態だと思われているよね。
まぁ実際そうだけど。
「この変態め! 吸いちゅいたら赦さないぞ!?」
……!?
吸いちゅいたら!?
今、吸いちゅいたらって言った!?
ぐはっ!
膝から崩れ落ちる。
攻撃力が……高過ぎた……
「ええっ!? ルーどうしたの? 具合が悪いの?」
お父様が心配そうに覗き込んできた。
「違うよなぁ。ぷふっ。頭が悪いんだよなぁ? あははは。笑い死にさせる気か!?」
吉田のおじいちゃん……
完全にツボにはまっているね。
「だって、ベリアルがかわい過ぎるんだもん……吸いちゅくとか言うから……」
「はあ!? オ……オレはそんな事、絶対言ってないぞ!?」
うわあぁ……
照れるヒヨコちゃん……
かわい過ぎる……
吸いたい、撫でたい、撫で回したい!
でも……
この誘惑に負けて、いつものように本能のままに動いたら完全に嫌われちゃうよ。
ここは、こらえるんだ!
「ベリアル……」
「なんだよ!? 吸わせろとか言うんだろ!?」
「違うよ? 昨日ね、お兄様のお父さんにフロランタンのレシピを教わってきたの」
ふふふ……
さぁベリアル、言うんだよ!
ルゥ大ちゅきって!
「え? 本当か!? やったぁ! 今すぐ作れ!」
「うんっ! 昨日の夜お父様が来た時に材料をお願いしておいたんだよ?」
「そうか、今すぐ作れ!」
「……うん。……それで?」
ほら、ルゥ大ちゅきって言わないとね?
もう一押しかな?
「……何が望みだ?」
何が望み?
かなり警戒しているね。
難しい事を言うヒヨコちゃん……
かわいいっ!
「できれば……できればなんだけど……」
「できれば何だ?」
「ルゥ大ちゅきって言って?」
「はあ!? お前バカか!? 変態のうえにバカなのか!?」
「バカでも変態でもいいの! 言って? さぁ! ルゥ大ちゅきって!」
「もういい! いらないよーだ! 変態バカ!」
ベリアルが怒りながら飛んでいった!?
しかも変態バカって……
くうぅ!
何なの!?
この高揚感は……
悪口を言われたはずなのに嬉しい……
もっと言って……
あぁ……
怒るヒヨコちゃんもかわいい……
「あれがベリアルだなんてね……」
お母様がベリアルを見つめながら呟いた?
「え? 天界にいる時のベリアルは今と違ったの?」
「まぁ、ヒヨコではなかったわね……」
それはそうだろうね。
お母様は天然なのかな?
「ベリアルって天界ではどんな感じだったの?」
やっぱりお菓子が大好きでかわいかったのかな?
でも、初めて会った時は今とは感じが違ったよね?




