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ティータイム(13)

 お菓子のお土産を大量にもらってご機嫌なベリアルに、リコリス王国まで空間移動してもらった。

 身体が二つに裂けなくてよかったよ……


 魚人族の海賊も二人、お兄様の『海のお母さん』と海賊の島に一緒に帰る為に移動してきた。


「いっぱいお菓子っ! いっぱいお菓子っ!」


 ベリアルが嬉しそうに興奮している。


 ふふふ……

 ベリアルのお気に入りのフロランタンの作り方を教えてもらったんだ。

 餌付け……

 じゃなくて『好物でわたしに対する不信感をなくそう作戦』の開始だよ!

 今日はお菓子がいっぱいあるから明日決行しよう。

 もし、ベリアルが『ルゥ大好きっ! 』とか言って抱きついてきたりしたら……


「あは……あははは……」


「うわっ……こいつまた良からぬ事を考えてるな……」


 ベリアルの冷たい視線を感じながらも笑いが止まらない。


 コンコン


「陛下」


 誰かがお兄様の寝室のドアをノックすると海賊の二人が慌てて秘密の通路に入り、入り口が本棚で塞がれる。


 慣れている……

 何回もこんな事があったんだろうね。


「入れ」


 おお……

 シスコンモードが終わって王様らしくなっている。

 しかも、いつの間にか王様らしい部屋着に着替えている!?

 すごい……


「陛下、本日の予定……あ……聖女様?」


 誰かな?

 二十代くらいのメガネをかけた真面目そうな男性が入ってきた。


「うん。あの……遊びに来たの……」


 もっと違う理由にすればよかったかな?


「そうでしたか。お邪魔をしてしまい申し訳……え? ヒヨ……ヒヨコ?」


 お土産のお菓子をポリポリ食べているベリアルに釘付けになっている。

 もしかして王宮は動物禁止とか?

 どうしよう……

 怒っているのかな?

 身体が震えているよ?


「あの……王宮は動物禁止なのかな?」


「え? あ……いえ。あぁ……あの。このヒヨコは……」


「わたしの……ペットなの。ごめんね? 悪い事はしないし言葉も通じるから、王宮にいてもいいかな?」


「(……ヒヨコ)」


「え? ごめん、聞こえなかった。何かな?」


「ああああああっ! もうダメだああぁ!」


 見るからに真面目そうな男性がいきなりベリアルを抱き上げた!?


「うわっ!? 何だ!? やめろ!」


 ベリアル……

 お菓子に夢中で油断したね。

 すごい勢いで頬擦りされているよ。

 うらやましい……

 わたしもやりたい。


「ヒヨコちゃんはお菓子が好きなのかなぁ? ほぉらキャラメルだよぉ?」


「キャラメル!? 好き好きっ!」


 このメガネの人間……

 いつもキャラメルを持ち歩いているみたいだね。

 ベリアルが簡単に餌付けされているよ……

 うらやましいっ!

 

「えへ……えへへへ……」


 ……!?

 この人間……

 ベリアルを吸っている!?

 何て幸せそうな顔なの!?

 まさか同志!?

 同志なの!?


「……!? まさかお前も変態か!?」


 吸われている事に気づいたベリアルが、床屋のあんねぇの所に飛んで逃げる。


「ああっ! わたしのヒヨコちゃんっ!」


 ええっ!?

 確実に仲間だよ?

 絶対モフモフ好きだよ!


「うわあぁん! 変態しかいないよぉ」


 ベリアル……

 変態()()って……

 確実にわたしも含まれているよね!?


「コホン! 失礼しました。陛下は……お茶を……?」


 一瞬で、ニヤケ顔から真顔になった!?

 これはプロだ!

 変態のプロだよ!


「あぁ……ティータイムだ」


 お兄様……

 王様らしい立ち振る舞いだね……

 皆、真面目そうに見えるけど、それぞれに変態を隠して生きているんだ……


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