ティータイム(8)
あぁ……
ドキドキするよ。
第三地区の皆だけじゃなくて、集まって来たこの島の人間も見ている。
変態だって言われて嫌われませんように……
「じゃあ……いただきますっ!」
ハーピーちゃんの髪に顔をうずめると深く息を吸う。
ああ、最高な気分だよ。
幸せ……
「うわあ……ルゥ、またやってる……」
ドン引きするベリアルの声も聞こえないほどスーハーする。
あぁ……
クラクラしてきた……
でも、ハーピーちゃんがかわい過ぎてやめられないよ!
「えへへ、くすぐったいよお」
ハーピーちゃんが笑っている!?
もうダメだ!
ニヤニヤが止まらない!
きっと呆れられちゃったね……
もう妹だって思ってもらえないかも……
お兄様の顔をおそるおそる見る。
え?
お兄様の顔が……
嘘……?
ものすごくニヤニヤしている!?
リコリス王国にいる時と全然違うよ!?
「あははは……あぁ……ルゥは世界一かわいいよお……」
お兄様!?
わたしの変態な姿を見てもかわいいって言ってくれるの!?
「お兄様……わたしの事……嫌いにならないの? こんなに変態なのに……」
「ごめん……ルゥ。実は……」
お兄様が話しにくそうにしている。
やっぱり、わたしの事が嫌いになったんだ……
「実は、お兄様も変態なんだっ!」
え?
お兄様も変態?
どういう事?
もしかして、わたしに合わせてくれているとか?
「そうなんだ……ヘリオスも変態なんだ。王なんてとても務まらないくらいの、ど変態なんだ」
お兄様のお父さん……?
息子に、ど変態って……
でも、この感じは嘘じゃなさそうだね?
じゃあ、まさかお兄様も……
「オレの場合はルゥだけに対する変態だよ!? 信じてね?」
オレ?
いつも、わたしとかお兄様って自分を呼んでいるけど……
これが本当のお兄様の姿!?
「ルゥ……もしかして呆れちゃった? お兄様の事……嫌いになった?」
うう……
子犬みたいにかわいいっ!
「嫌いになんてならないよ!? むしろ大好物……じゃなくて! かわいくて大好きだよ?」
危ない危ない!
お兄様相手に変態になるところだったよ……
「なんだ! お互い猫被ってたんか! あははは」
「本当、双子なだけあってそっくりだなぁ。あははは」
「姫様、よかったですね。これで、いつでもハーピーちゃんをかわいがれますね」
第三地区の皆が笑っている。
「うん! 皆のおかげだよ? ありがとう!」
勇気を出して良かった。
これからはお兄様の前でも堂々とハーピーちゃんとベリアルをかわいがれる……
「うまああああい! これも……サクッ! うまああああい!」
あぁ……
ベリアル……
かわい過ぎるよ。
「もう、このニヤニヤも隠さなくていいんだね……」
「はあ!? みっともないから隠した方がいいに決まってるだろ? ちゃんとしろよ? モグモグ」
ヒヨコちゃんにお説教される聖女って……
うう……
みっともない……?
ベリアルの言う通りだね。
恥ずかしくない程度にニヤニヤしよう……
でも……
我慢できるかな?




