ティータイム(7)
「それにしても、ヘリオス達はどうやって来たんだ? 今は波が荒いはずだが」
お兄様のお父さんが不思議そうにしている。
「ルゥのペットのヒヨコが連れて来てくれたんだ」
お兄様は王様じゃなくて普通の男の子みたいだね。
「ヘリオス、お前……王なんてやってるから頭がおかしくなったのか? 背中にでも乗って来たのか?」
お父さんは、さっきのお姉さんと同じ事を言っているね。
そういえば、容姿が似ているかな?
赤茶色の髪に茶色の瞳がそっくりだ。
親子なのかな?
「すぐ戻るのか? 時間があるならお茶にしよう」
お兄様のお父さんが椅子を用意してくれる。
「るぅ、だっこ!」
ハーピーちゃんが抱っこして欲しそうに手を伸ばしてきた。
あぁ……
かわいいっ!
ハーピーちゃんを抱っこして椅子に座る。
「お茶!? お菓子食べてもいいか!? 全部いいか!?」
ヒヨコのベリアルが、つぶらな瞳をキラキラ輝かせている。
お菓子を食べる為に天使の力を使ってまで、この島に来たんだ。
食べられなかったら暴れるんだろうね……
「変わったヒヨコだな? 空も飛べるし話すし。お菓子が好きなのか?」
「うんっ! オレ、お前のお菓子大好きだぞ?」
「ん? ああ、お土産のフロランタンを食べたのか」
「うんっ! あんなお菓子は初めてだ! サクサクのカリカリのウマウマだあ!」
……!?
サクサクのカリカリのウマウマ!?
ぐはっ!
かわい過ぎる!
ベリアルが翼をパタパタさせながら興奮している。
顔がニヤける前にフードを被っておかないと!
お兄様や人間の前では清純な聖女を演じないと!
慌ててフードを被ると二兵衛さんと床屋のあん姉が笑い出す。
「あははは! 今さら遅いぞ? もうヨダレ垂れてたぞ!」
「そうだぞ? ここにいるのは兄ちゃんの家族なんだろ? じゃあ、ルーの家族なんだから良く見せようなんてする必要ないだろ? いつものルーの姿を見せてやれ! あははは」
そんな……
呆れられちゃうよ……
やっと会えた妹が、ど変態だったなんて。
嫌われちゃうかもしれないよ?
「姫様……わたしもそう思います。自分を偽る事は疲れるものです。ありのままの姫様の姿を見ていただきましょう。わたしはいつもの姫様が大好きですよ?」
ハーピー族長……
すごく嬉しいけど。
でも……
怖いよ。
「嫌われそうで怖いの……本当のわたしを知ったら呆れられちゃうんじゃないかって……」
「あぁ……ルゥ。そんな事があるはずがないよ? 呆れたりなんてしないよ? 本当のルゥの姿をお兄様に見せて欲しいな?(きっとかわいいんだろうなっ! 早く見たいなっ!)」
お兄様……
わたしの、ど変態ぶりを見てもそんな事を言えるかな?
「……嫌いにならない?」
「もちろん! 絶対に嫌いになんてならないよ?」
絶対に……?
信じてもいいのかな?
フードを被ったハデスを見ると、頷いてくれる。
「……うん。じゃあ、やるよ? ハーピーちゃん、いつものやってもいい?」
「うん! もちろん!」
さっき被ったフードをとって、ハーピーちゃんのウサギちゃんの着ぐるみのフードもとる。
ハーピーちゃんがキラキラの瞳で見つめてくる。
あぁ……
かわいい……




