ティータイム(6)
今回はお兄様であるリコリス王が主役です。
「お兄様も変態……? そんなはずは……」
まずい。
世界一かわいい妹のルゥに、頼りになるかっこいい兄のオレが変態だとバレてしまう!
ダメだダメだ!
それだけは絶対にダメだ!
「父ちゃんっ! しーっ! ダメ!」
これ以上、父ちゃんをしゃべらせたらダメだ!
オレのかっこいいイメージが崩れちゃうよ!
「ん? どうした? 何が、しーっだ?」
「父ちゃんは、黙ってて!? (オレが変態だって事は内緒なの!)」
「そうなのか? さっき、妹もヘリオスと同じようなスケベ顔して笑ってたぞ?」
「はあ!? そんなわけないだろ!? ルゥは世界一かわいい妹なんだから! しかも、聖女様なんだよ!? ニヤニヤ笑うはずないだろ!?」
「そうか? 見間違いか? おかしいなぁ」
ルゥは守ってあげたくなるような美少女で可憐で儚げで……
だから、ルゥを想ってニヤニヤするオレみたいな顔はしないんだよ!
「お前も変態なのか?」
ルゥのペットのヒヨコ!?
オレの事を疑いの眼差しの、つぶらな瞳で見つめている!?
さっき胸に飛び込んできたまま抱っこしていたけど……
あれ?
この匂い……
ルゥの匂いと同じ?
甘いお菓子みたいな……
もしかしてこのヒヨコ……
毎晩ルゥと一緒に寝ているとか!?
抱っこされて寝ているんだ!
そうに違いない!
だから、ルゥの匂いがするんだ!
「あは……あははは……ルゥの匂いだぁ……」
ヒヨコの後頭部に顔をうずめる。
「……!? スーハーしてるのかっ!? さては、お前も変態だな!?」
え?
ヒヨコ?
何を言っているんだ?
オレが変態だとどうして分かった!?
「うわあぁん! 変態しかいないよお! あん姉助けて!」
ヒヨコがオレの腕から抜け出して、ルゥと一緒に来た女性の方に向かって飛んでいく。
「ベリアル……おいで!」
ルゥが腕を広げて、ヒヨコを呼んでいる。
あぁ……
かわいいっ!
かわいいヒヨコと超絶かわいいルゥ……
まるで絵画のようだ……
「はぁっ!? 変態のところになんか行かないよーだ!」
何!?
ヒヨコがルゥの腕を拒否した!?
じゃあ、オレが失礼してルゥの腕に……
って、嫌われちゃうだろうが!
我慢だ!
危ない危ない……
一時の快楽の為に、兄としての信頼を失うところだった!
「ベリアルゥゥ……もうしつこくしないからぁ……抱っこさせてよぉ……」
あぁ……
おねだりするルゥ……
かわいい……
「嫌だね! 変態はお断りだ!」
なんて憎たらしいヒヨコなんだ!
少しくらい抱っこさせてやってもいいだろう!?
減る物じゃないんだから!
ルゥのペットじゃなかったら油で揚げてやるところだぞ!?
「ベリアル……もう(ちょっとしか)吸わないから……ね? 抱っこさせてよ……」
あれ……?
そういえば、さっきからヒヨコがルゥを変態だって言っている。
父ちゃんもルゥがオレみたいなスケベ顔をしてたって言ってたぞ?
まさか、そんなわけないよな?
こんなかわいいルゥが……
あぁ……
今日は髪をアップにしてメイクもしているのか……
かわいいっ!
この世の中で一番綺麗だ!
ずっと見ていたいなぁ……
王様なんて辞めてずっとルゥと一緒にいたいなぁ。




