変態の姉? いいえ、わたしは聖女です。
翌朝___
第三地区の広場に着くと、うさぎの着ぐるみのフードを被ったハーピーちゃんが歩いてくる。
「るぅぅ、おはよっ!」
あぁ……
もう人間の姿にしてもらったんだね。
かわい過ぎるっ!
真っ白いうさぎちゃんだ……
「あは……あははは……」
あまりのかわいさに無意識に声が出ちゃった……
わたしの弟は世界一かわいい……
「おお……またルーがおかしくなってるぞ?」
「弟がかわい過ぎて頭の中がお花畑になってるんだろ?」
「おい……聖女ってこんなんでいいんか?」
「弟を見てヨダレ垂らす姉ちゃんなんて初めて見たぞ……」
……!?
いつも楽しそうに笑っている第三地区の皆がドン引きしている!?
まさか……
わたしがブラコンの、ど変態なのがバレちゃった!?
まずい……
わたしは聖女……
魔王の娘で、神と豊穣の女神の娘で、人間のリコリス王国の王妹で、前ヴォジャノーイ王妃だよ?
しっかりしないと。
弟を見てヨダレを垂らしている場合じゃないよ?
今日も人間の国に魔素の浄化をしに行くんだから!
わたしは聖女……
わたしは聖女……
よし、真顔に戻ったね!
「おお……ルーが凛々しくなったぞ!?」
「誰が見ても立派な聖女様だ!」
「これなら安心して人間の国に行けるなぁ!」
ふふふ……
わたしは、やればできる子なんだから。
聖女としての威厳を……
「るぅぅ……だっこぉ」
……!?
潤んだ上目遣いのハーピーちゃんが甘えてくる!?
ぐはっ!
まずい……
顔がにやけちゃう……
「おお……ルーがヨダレを垂らし始めたぞ!?」
「誰が見ても立派な変態だ!」
「こんなんで人間の国に行けるんか!?」
くっ……!
立派な聖女の振りは五秒ももたなかったか!
もう一度やるよ!?
「おお……ルーが凛々しくなったぞ!?」
「誰が見ても立派な聖女様だ!」
「これなら安心して人間の国に行けるなぁ!」
「るぅぅ……だっこぉ……」
「おお……ルーがヨダレを垂らし始めたぞ!?」
「誰が見ても立派な変態だ!」
「こんなんで人間の国に行けるんか!?」
「何してるの……? 月海、大丈夫?」
お父さんが心配して話しかけてきた?
「え? あぁ……うん。平気だよ。大丈夫」
本気で心配されると恥ずかしいよ……
もしかして、変態芸みたいになっているの?
「皆も月海で遊ばないでね?」
「ルーで遊ぶと面白いからなぁ。あははは」
「今日もなかなかの変態だったなぁ。あははは」
「いいもの見せてもらったなぁ。あははは」
やっぱり遊ばれていたのか……
「姫様……お待たせしました」
おお……
人間の姿の魚族長……
かっこいいね。
身体の大きさはそのままで、人間らしい肌の色と顔つきになっている。
「魚人間の兄ちゃんにも服を作っておいてよかったなぁ。似合ってるぞ?」
ひいおばあちゃん……
ハーピーちゃんの服だけじゃなくて、魚族長の服も作ってくれていたんだね。
さぁ、今日も人間の国の魔素の浄化を頑張るぞ!




