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リコリス王国にお出かけ(2)

「魔族同士の時はそうしなくていいけど、今回の旅だけはそうして欲しいな?」


「うん! るぅのためにそうする!」


 あぁ……

 かわいい……

 わたしの弟は世界一かわいい……


「じゃあ、ハーピーちゃんが人間に見える術をかけるよ?」


 お父さんにもできるんだね。

 さすが魔王だよ。


 術をかけられたハーピーちゃんは翼が消えて下半身も人間になっている。

 

「うわあぁ! 不思議な感じだね!」


「うう、あるきにくい」


 ハーピーちゃんは人間の一歳くらいの子供の大きさだから、はっきり話すと怪しまれるかな?

 でも……

『家の弟は天才なんです! 』って言えば大丈夫か。


「ハーピーちゃんは人間の赤ちゃんの大きさだから、もう少しだけ赤ちゃんっぽくしてくれると助かるな……」


 お父さんも同じ事を考えていたんだね。


「大丈夫だ! 家の子は天才だからって言えばなんとかなる! 実際、ハーピーちゃんは天才だからな!」


 ママ……

 血が繋がっていなくても、さすがわたしのママだね……

 同じ考えだよ。

 

「ハーピーちゃん? 間違えて人間に食いつくなよ?」


 ママ……

 怖いよ?

 一番近くにいる人間はわたしだよ……?


「うん。まちがえない。にくは、いえにかえったら」


 ハーピーちゃん……

 家に帰ったら食べるんだね……


「では、行こう。水の精霊のネーレウスを呼ぶぞ?」


 ハデスの目の前に魔法陣が現れる。


 久しぶりだな。

 ハデスがヴォジャノーイ族の頃はこうやって海の中を進んだけど……

 天使の姿に戻ってからは空を飛んで移動していたからね。

 さすがに皆を抱えては飛べないよね……


 久々の海の中の移動はワクワクする。

 おばあちゃんの作ってくれたおはぎと、お茶を飲みながらゆっくり進んでいく。


「ばあちゃんの、つけものすきっ!」


 あぁ……

 漬け物好きの赤ちゃん……

 ポリポリ食べていて、かわいいっ!


「お茶は熱いからなぁ。フーフーして飲むんだぞ?」


 おばあちゃんが、ハーピーちゃんを抱っこして嬉しそうに笑っている。


「うん! ふーふーする!」


 あぁ……

 かわいい……

 わたしの弟は世界一かわいい……

 あぁ!

 ヨダレが出ないように気をつけないと!

 危ない危ない……

 あまりのかわいさに変態の姉になっちゃうところだった……


「雪あんねぇ? お兄ちゃんも一緒に来られなくて残念だったね」


「ああ、今日は夜からデートなんだ。二人で開拓した島に面白い仕掛けをしておくから楽しみにしてろって言ってたな」


 お兄ちゃんは、雪あん姉に喜んで欲しくて毎日二人の島でサプライズをしているらしい。

 二人はすごく仲良しなんだよね。

 見ているだけで幸せな気持ちになるよ……


「もうすぐ着くぞ? 先に買い物をしよう。弟に服を買いたいからな」


 ハデスの言う通りだね。

 幸せの島は常夏だから上着は着ないし、鳥の下半身だからズボンも必要ない。

 服を持っていないから、今もおばあちゃんが貸してくれた上着を着ているんだよね。


「ふく? るぅは、おれにふくをきてほしい?」


 あぁ……

 世界一かわいい……


「うん。リコリス王国は大国だから、きっと似合う服がたくさんあるよ?」


 白いシャツにサスペンダー付きの短パンとか……

 かわいいだろうな……


「るぅが、きてほしいなら、きる!」


 あぁ……

 やっぱり、わたしの弟は世界一かわいい……

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