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リコリス王国にお出かけ(1)

「月海、気をつけて行ってくるんだよ?」


 お父さんが心配そうな顔をしながら髪を撫でてくれる。

 広場には第三地区の皆が集まっている。

 ついに今日から、人間の国の魔素を浄化する旅が始まる。

 朝出発して夕方までには帰ってくる旅を、ほぼ毎日する事になるんだね。

 ハーピーちゃんの夕方のご飯の時間までに帰らないと人間の食べ放題が始まっちゃうから気をつけないと。

 

 初めはわたしとハデスの二人旅のはずだったけど……

 ハーピーちゃんと、第三地区の皆が交代しながらの三人での六人旅になったんだ。

 第三地区の皆は人間の国は初めてだから楽しみで仕方ないみたい。

 ちなみに今日は旅の初日でルゥのお兄様の国を浄化するから、おばあちゃんと吉田のおじいちゃんと雪あんねぇの三人が行く事になっている。


「どうして、吉田のおじちゃんがお母さんと……」


 お父さんは、おばあちゃんと吉田のおじいちゃんが仲良くしていると複雑みたいだね。


「星治、こういう旅行はアベックで行くもんだろ? あははは」


 吉田のおじいちゃん?

 アベックって何?


「そうだぞ? 星治。お土産買ってくるからなぁ。ハデスちゃんが小遣いをくれたんだ」


 おばあちゃんが嬉しそうにお父さんに話しかけている。


 そういえば、ハデスが皆にお小遣いをあげるって言っていたね。

 ハデスは凄いお金持ちみたいだけど、どうしてそんなにお金があるのかな?

 魔族はお金を使っていないんだよね?

 ハデスがくれたお小遣いは人間のお金みたいだけど……?


「ハデスはお金持ちなの?」


 前王だからかな?


「ああ、ルゥには話していなかったか。ヴォジャノーイ王だった頃に貢ぎ物を貰ってな。その三分の一はわたしの物なのだ」


 そうなんだね。

 確かハデスがヴォジャノーイ王になってから、ヴォジャノーイ族はすごく豊かになったって王様が言っていたよね。

 最近王様に会っていないけど元気かな?

 貢ぎ物か……

 無理矢理、他種族から奪い取っていないよね?

 ヴォジャノーイ王だった頃のハデスはかなり強引だったらしいから。

 今はだいぶ丸くなったね……


「ルゥと弟にも小遣いをあげよう」


 ハデスは、ずっとハーピーちゃんを弟って呼んでいるね……

 わたしに恋心を抱かせない為に、姉と弟として距離を置かせるようにしているってベリアルが言っていたけど……

 心配し過ぎだよ……


「こづかい?」


 ハーピーちゃんはお買い物は初めてなんだね。


「このお金がないと、欲しい物を買えないの。お金があっても足りない事もあるし、多いとお釣りをもらえるんだよ?」


「ほしいもの、うばったらいい」


 あぁ……

 魔族の考えだから否定はできないね。


「うん。そうだね。でも人間はお金を払うっていう決まりがあるんだよ? あとは、物と物を交換したりね? この旅の間だけはお金を使ってみようか? 面白いと思うよ?」


 どうかな?

 納得してくれたかな?


「るぅは、おれに、そうしてほしい?」


 あぁ……

 かわいい……

 ハーピーちゃんの瞳がキラキラ輝いている。

 わたしの弟は世界一かわいい……

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