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鍛錬の島でバレちゃった!

「じゃあ、そろそろ遊ぶか?」


 吉田のおじいちゃんが笑いながら言っているけど、遊ぶって……?


「この辺が雷か?」

「じゃあ、ここは砂嵐だったか?」

「この雷は肩こりに効きそうだ」


 え?

 嘘でしょ?

 第三地区の皆が、まるで遊園地みたいに遊び始めた!?

 あり得ないよ……

 この雷が肩こりに効く?

 感電して命の危機だよ!?

 

「見ろ! この火と砂と水を合わせると砂風呂みてぇになるぞ?」

「こっちは水と火と雷で電気風呂だ!」

「この落とし穴は焼きいもを作るのにちょうどいいなぁ。いもを持って来てよかった」


 いや……

 焼きいも?

 電気風呂?

 砂風呂?

 もしかして第三地区の皆は最強なんじゃ……?

 わたしより強いとか?


「うわぁ……皆すごいよ。超人なの?」


 お父様も驚いている。

 神様のお父様でさえ、泣きながら悲鳴をあげていたのに……

 あれ?

 それは、いつもか……


「おばあちゃん……焼きいもを焼いているの? 落とし穴で?」


 発想がすごいね。

 わたしは落ちないようにとしか考えていなかったよ。

 

「この魔法の石は便利だなぁ。第三地区でもやってるんだ。月海は夜には幸せの島に帰ってるから知らなかったか。毎晩、色んな風呂を作って入ってるんだ」

 

 知らなかったよ……


「ハデスちゃん。この雷の魔法の石が欲しいなぁ。第三地区でも使いてぇからなぁ」


 吉田のおじいちゃん……

 肩こり対策に使うつもりなの?

 それとも電気風呂?

 それに『ハデスちゃん』って……


「もう使わない島だからな。魔法石は全て持って行っていいぞ?」


 ハデス……

 よかった。

 もう使わない島なんだね。

 この島で鍛錬する事はないんだ。

 さようなら、地獄の思い出……


「なんだ。ハーピーちゃんの鍛錬に使おうと思ったのに残念だな」


 ママ!?

 ハーピーちゃんは、まだ赤ちゃんだから無理だよ?

 かわいいハーピーちゃんには、この島で危険な目に遭わないで欲しかったから本当によかった……


「るうぅ」


 ハーピーちゃんがヨチヨチ歩いて来る。


 ああ……

 かわいいっ!

 あれ?

 ハーピーちゃんの動きが止まった?

 どうしたのかな?

 まさか、魔法石を踏んだの!?

 ……!

 しまった!

 ハーピーちゃんが火に包まれた!


 大変だ。

 水の精霊を呼ばないと!

 急がないとヤケドしちゃう!


「ネーレウ……」

 

 途中まで精霊の名前を呼ぶと目が開けていられないくらいの強風が吹く。


 ……え?

 突風が吹いて火が消えた?

 あの火を消せる風なんて……

 もしかしてハデスが助けてくれたの?

 でも力を感じなかったよ?


「つばさがよごれただろ、くずが」


 ……?

 ハーピーちゃん?

 今、しゃべったのはハーピーちゃんなの?

 え?

『クズが』って言った?


「ハ……ハーピーちゃん?」


 わたしの声にハーピーちゃんがピクッとした?


「ああ……あうぅ」


 ……?

 あれ?

 やっぱり、いつものハーピーちゃんだよね?

 でも焦っているみたいに見えるし、さっき普通に話していたよ?

『クズが』って……


「もう無理だろう。赤ん坊の振りは、やめたらどうだ?」


 ハデスが、ハーピーちゃんに話しかけている。

 でも、赤ちゃんの振りって?

 ハーピーちゃんは元々赤ちゃんだよね?

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