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ハデスの苦悩

今回は、ハデスが主役です。

 ルゥがペルセポネだと分かってから色々あったな。

 ルゥの心も最近は安定しているようだし、もう自害の心配もないだろう。

 わたしもハデスの身体を取り戻し、甥もヴォジャノーイ王として執務に励んでいるようだ。

 これからは安心してルゥのそばにいられるな。

 魔王様とルゥには、イナンナの肉体が妻であり実の母である事は話していない。

 そして集落で愚かな弟がしていた事も……

 この真実が二人の耳に入る事は決してないだろう。


 それにしても、ルゥは最近モフモフに飢えているようだな。

 ベリアルをこっそり吸おうとするのを阻止する日々が続いている。

 ハーピーの息子はモフモフという感じではないし、犬も人間と過ごすのが忙しいようだしな。

 ……どこかに行ってルゥ好みのモフモフを調達してくるか。

 絶対にルゥに恋心を抱かない生き物を……な。

 何か、いい生き物はいないものか。

 かわいらしく、キバや爪が鋭くない生き物……

 ジャックフロストもいいが、あれは寒い場所でないと生きられないからな。


 礼儀正しくかわいらしく、意思の疎通ができる者……

 ケットシーなら耳さえ触らなければルゥに怪我をさせる事もないか。

 見た目は普通の猫だからな。

 ルゥも喜ぶだろう。

 早速、明日にでも幸せの島に来てくれるケットシーを見つけてくるか。

 ケットシーは裁判好きだからな。

 なんでもかんでも裁判にしてしまう。

 無理矢理連れて来ると後が面倒だ。

 ルゥも連れて行き、仲良くなれば共に暮らそうとする者も見つかるだろう。

 ケットシーの国に入り込むと面倒だから、人間の国に紛れ込んで暮らしている者を探すか……

 

「ルゥ、明日出かけようか」


「え? お出かけするの? やったぁ」


 ニコニコ笑って、かわいいな……

 久々に二人で過ごすのもいいだろう。

 最近は第三地区と幸せの島で大勢で過ごしていたからな。

 二人きりでのんびりと……


「るぅぅ……」


「ハーピーちゃんも行きたいの?」


 ハーピーの息子……

 相変わらず、ずっとルゥの膝にいるな。

 ルゥの前では赤ん坊の振りをしているのか。

 ルゥと二人で出かけたいが、子を抱いていれば美しいルゥに言い寄る愚かな男もいないか……

 仕方ない。

 三人で出かけるか。


「何だ? 出かけんのか? じいちゃんも連れてってくれ」

「どこに行くんだ?」

「何を着ていくか?」

「旨い物はあるんか?」


 しまった……

 第三地区の者達は、想定外の動きをするからな。

 連れて行くと面倒だ。


「……いや、三人で出かけようかと……」


 今回は三人で……


「明日が楽しみだなぁ」

「何時出発だ?」

「どこに行くんだ?」

「バナナは、おやつに入るんか? あははは」


 え?

 バナナは、おやつ?

 

「バナナとはバショウ科バショウ属の多年草だ。木になっているように見えるがあれは茎なのだ。つまりバナナは野菜に分類されるはず。おやつではないだろう?」


「ハデスちゃん。明日は何時にどこに集合だ?」

「寒いか? 暑いか? 一張羅で行かねぇとなぁ。あははは」

「久々に真っ赤なルージュでもひくか? あははは」

「旅行なんて敬老会以来だなぁ。あははは」


 いや、バナナの話はどうなった?

 全く話を聞いていないぞ?

 真っ赤なルージュ?

 何だ?

 それは?

 明日は三人で出かけるつもりで……


「ええ? ルー達はお出かけするのぉ? お父様も行きたいよぉ」


 ゼウス、いつの間に……

 お前は行く先々で女遊びをするから絶対にダメだ。

 ヘラが暴れだして手に負えなくなるだろう。


「ゼウスが行くならわたしも行くわ! 見張っていないと!」


 ヘラも来ていたのか……

 

「だから明日は三人で出かける……」


 ゼウスとヘラが来れば大変な事になるのは目に見えている。


「ゼウスとヘラが行くならわたし達も行くわ? ね? デメテル?」


 ヘスティアまで……

 人間の国で火干しをされたら困る。

 絶対に連れては行けない!


「そうね。久々に皆でお出かけしましょ?」


 デメテル……

 冷静なデメテルなら、このメンバーで出かけたらどうなるか想像できるだろう?

 大惨事、間違いなしだ。


「だから、明日は三人で……」


 何としてでも阻止しないと。

 大変な事になる。


「うわあぁ! 皆でお出かけなんて初めてだね! 嬉しいな。ハデス、ありがとう」


 ルゥが嬉しそうに笑っている。

 

 ああ……

 こんな顔を見たら、もうダメとは言えないな。

 だが、この手に負えない連中を連れて人間の国には行けない。

 どうしたものか……

 

 そうだ、あそこに行こう。

 まだ幼かった甥の為に作った島。

 ルゥも幼い頃は、よく遊びに行っていたな。

 あそこなら誰もいないし、このメンバーで行っても安心だ。

 ケットシーは、また今度にしよう……

 明日は疲れそうだな。

 想像しただけで疲れてきた……

 

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