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魔族の理性と本能~前編~

「今頃、お兄ちゃんと雪あんねぇは楽しく島の開拓をしているのかな?」


 食事中のおばあちゃんに話しかける。


「そうだなぁ。雪あん姉は、ずっと頑張ってきたからなぁ。これからは、自分の幸せを一番に考えて欲しいなぁ」

 

 おばあちゃんも嬉しそうだね。

 

「お兄ちゃんも、長い間ウェアウルフ族の為に頑張ってきたからね。二人で楽しくのんびり暮らして欲しいよ」


 二人ならきっと楽しく過ごせるね。

 大好きなお兄ちゃんと雪あん姉が幸せそうにしている姿を想像しただけで嬉しくなっちゃうよ。


「人の上に立って何かをするのは並大抵の事じゃねぇからなぁ。雪あん姉には苦労させちまったが……狼人間と一緒なら幸せに暮らせるだろう」


「うん。お兄ちゃんは優しいからね」


「でも、初めて会った時は敵だったんだろう? どうして、仲良くなったんだ?」


 吉田のおじいちゃんが尋ねてきた。


「オレも聞きたい」


 ベリアルも聞きたいんだね。

 今日もヒヨコちゃんの姿のつぶらな瞳がかわいいよ。


「……そうだね。あれは、吉田のおじいちゃん達とベリアルが幸せの島に来る前だったね。グリフォン王とお兄ちゃんが種族を率いて攻めて来たんだよ。でも、その時お兄ちゃんがパパの身体を✕✕(ピー)でね? パパを✕✕(ピー)しちゃって、それで、わたしがお兄ちゃんの頭を✕✕(ピー)して✕✕(ピー)しちゃったの。そしたら、わたしに聖女の力があるって分かってね? 家から外に出たら魔族の皆が砂浜と海で✕✕(ピー)でてね、そこら中✕✕(ピー)……」


「やめろやめろ! それ以上聞きたくない! 何で笑いながら話してるんだよ!?」


 ベリアルが話を止めに入った。

 聞きたいって言ったから話したのに……


「そんな事があったのに何で仲良く暮らしてるんだよ? おかしいだろ?」


 ベリアルが震えながら尋ねてきた。

 堕天使だったけど、やっぱりベリアルはかわいいね。


「え? よく分からないけど、忠誠を誓いますって言われたの。その日のうちに仲良くなったんだよ?」


 確かに不思議だね。

 わたしなんて、お兄ちゃんをアレしちゃったわけだし……

 パパは、しばらくお兄ちゃんを怖がっていたけどすぐに仲良くなっていたよね。

 まあ、パパの場合は優しいから赦したのかもしれないけど。

 魅了の力は五分しか効かないし、どうして敵意がなくなったのかな?

 大昔の聖女が魔族の傷を癒したから?


「ハデス、どうしてか分かる?」


 ハデスなら、前ヴォジャノーイ王だから分かるかな?


「ああ、それは魔族は強い者に絶対服従するからだろう。本能とでもいうか……あの時、犬猫はルゥの圧倒的な力の前にひれ伏したのだ」


 わたしの圧倒的な力?

 死者を生き返らせた力の事?

 お兄ちゃんの場合は、アレしちゃったからかな?

 だから怖くて服従したの?

 少し違うような……


「でも、ハデスも最恐の魔族って呼ばれていたよね? どうしてハデスには服従しなかったの? 何度も戦っていたんでしょう? それに、お父さんもすごく強いよね? 前の魔族同士の争いの時に魔族達がお父さんに服従しなかったのはどうしてなの?」

 

 お父さんの古代の闇の力はすごく怖かったんだよね……

 娘のわたしでさえ、押し潰されそうな威圧感に身震いしたんだ。

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