いつもと違う物語
~ママとパパのお話、ママが主役の物語~
家族皆でガゼボの中で夕涼みをしている。
ルゥはヴォジャノーイの膝枕で気持ち良さそうに眠っている。
「ハーピーずるい! ずるいよぉ」
オークが、わたしに文句を言いながら泣き出した?
「はぁ? 何が、ずるいんだよ?」
何かしたか?
もしかしてルゥと毎日寝ているのを怒っているのか?
「パパも主役になりたいよぉ」
はぁ?
主役?
何の主役だよ?
「パパが主役の物語をしたいよぉ」
……?
え?
無理だろう?
「今だってぇ、ハーピーが主役でしょぉ?」
涙を流しながら言う事か?
「うるさいから、一度やらせてみたらどうだ?」
ヴォジャノーイ……
聞いていたのか。
だが、どう考えても無理だろう。
しかも、うるさいからって……
「うわああぁん!」
オーク!
大声で泣くな!
ルゥが起きるだろう。
仕方ないな。
「じゃあ、変わってやるよ」
オークの目がキラキラ輝く。
「うわああぁい! ありがとう」
~パパが主役の物語~
はじまり、はじまりぃ。
んんとぉ、ええとぉ。
今日はぁ、朝からぁ、ルゥがぁ、かわいくてぇ。
それからぁ、今もぉ、ルゥがぁ、かわいくてぇ。
それでぇ……
「もういい! 終わりだ! 終わり」
ハーピー?
何で怒ってるのぉ?
~ピーちゃんが主役の物語~
「ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン。ピーチャン!」
「おい! 鳥! お前は何、勝手にやってんだよ!?」
~ママが主役の物語~
「また出て来たな? お前は隠れている約束だろうが!」
「ピーチャン!」
バサバサッ
はぁ?
逃げたな。
あれ?
ピーちゃんってしゃべっていたぞ?
あいつ、何でしゃべれるんだ?
「うわああぁん! もっとやりたいよぉ」
オーク!
大声で泣くな!
勘弁してくれよ。
もう二度とやらせない!
それにしても、オークの小さい姿……
かわいかったな。
わたしがオークの子を産めば、あんなかわいい子が……
って、何を考えているんだ?
おかしいぞ!
最近、胸がモヤモヤするし。
もしかして病気かも!
次に族長の所に行ったら診てもらおう。
あぁ、何の病気だろう。
ただ疲れているだけならいいが……
「はぁ……」
最近はため息ばかり出る。
疲れているんだな。
今日もルゥを抱っこして寝よう……




