デメテルと神様~前編~
朝食前に大量のプリンを作り終わってデメテルを吸っていると……
うわ!
目が開けていられないくらい眩しい!
これは天使が現れる時の光だよね?
「デメテルちゃん!? やっぱりここにいたんだ!」
……まだ目は開けられないけど、この声は神様?
今『デメテルちゃん』って言った?
デメテルは、神様の知り合いなのかな?
それにしても神様はずいぶん慌てているね。
神様が追放したんじゃないのかも……
「……」
あれ?
デメテルは黙ったままだ。
やっぱりデメテルは話せないのかな?
「神様? デメテルと知り合いなの?」
「あぁ……ルー。ええと……その……」
神様の様子がおかしい……
どうかしたのかな?
「ルゥ、デメテルは神の妻の一人だ」
ハデス?
妻の一人って……?
「天使は何人と結婚してもいいの?」
偉い天使は皆そうなのかな?
じゃあ、ハデスも?
「天族はだいたいそうだな。わたしは違うが……」
「本当に? ハデスは、わたしだけしか好きにならない?」
「わたしにはルゥだけだ」
ハデスが髪を撫でてくれる。
嬉しいな。
ハデスの顔が少し赤い。
恥ずかしいのかな?
わたしは、すごく嬉しいけど……
「デメテルちゃん、帰ろう? デメテルちゃんがいないとダメなんだ。ね? 帰ろう?」
神様……
必死だね。
喧嘩でもしたのかな?
「……」
デメテルは、ずっと黙っている。
怒っているのかな?
「デーメテールちゃんっ! かーえーろ? ね?」
神様……
このダメダメな感じ……
やっぱり田中のおじいちゃんだね。
これは、デメテルがさらに怒りそうな予感……
「……」
うわぁ……
話さないけど怒っているのが分かる。
神様……
もうやめないと、もっと大変な事になりそうだよ?
「デメテルちゃん? あ……あの……う、うわあぁ! ヒヨコの姿もかわいいね」
とりあえず、褒めてみたのかな?
「……」
やっぱりデメテルは無言だ。
神様……
何をしたんだろう?
かなり怒らせたみたいだね。
「デメテルちゃん、かわいいから抱っこしちゃおっと」
神様がわたしの膝からデメテルを抱き上げた!?
もう……
群馬にいた時から空気が読めないんだから……
「……」
ペチン
デメテルが無言で神様のほっぺたを叩いた!?
うわぁ……
神様を叩いても平気なの?
「デ……デメテルちゃん。あ…… 今、翼で叩いたの? 全然痛くないよーだ。あははっ」
神様……
空気が読めな過ぎるよ。
さすが田中のおじいちゃんだね。
「……」
ペチン
ペチン
デメテル!?
神様に往復ビンタをした!?
「デメテルちゃん……怒ってるの? ごめんね? もうしないから……叩かないでよぉ……」
神様……
なんだよね?
泣きそうになっているけど……
「……消えろ」
……!?
え?
今、デメテルが言ったの?
神様に抱っこされているデメテルが怖い顔をしている。
さっきまでピュイって言っていたのに……
聞き間違い……かな?
「デメテルちゃん……やっと話してくれたね。赦してくれるの?」
いや……
今、消えろって言われていたよね?
もう話さない方がいいよ。
余計に怒らせちゃうよ?
「……」
あぁ……
デメテルが、また話さなくなっちゃった。
「弟よ……今日はもう帰れ。デメテルは気が済むまでここにいればいい。追放したわけではないのだろう?」
ハデス……?
じゃあ、デメテルは自分からヒヨコちゃんの姿になって幸せの島に来たっていう事?
どうして、ここに来たのかな?
「ハデス? デメテルはどうしてここに来たの? ベリアルとハデスと知り合いだから?」
「それは……」
話しにくい事なのかな?
「デメテルは、わたしの姉だから……か?」
……?
え?
ハデスのお姉さん?
デメテルが?
あれ?
でも、神様はハデスの弟で……
デメテルはハデスのお姉さん……
神様とデメテルは結婚しているんだから……
ええ!?
お姉さんと弟で結婚したっていう事!?
すごい……
天使の世界……
すご過ぎる。




