表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

175/402

ルゥと卵~後編~

 最近見た? 

 ハーピーちゃんの卵には似ていないし、何だろう?


「……ああ! ベリアルが入っていた卵だ!」


 え?

 魚族長?

 ベリアルは卵に入っていたの?

 光の中から産まれたみたいに見えたけど。


「あの時わたしは海水越しだったので見えたのです。皆さん、眩しくて目が開けられなかった時です。確かに似た卵に入っていました」


「……じゃあ追放されて来た天使が入っているの?」


 悪い大天使はおじいちゃんが自害させたんだよね。

 まだ他にも悪い天使がいたの?


 コンコンコンコン


 卵の中から何かが出てこようとしているみたい。

 大丈夫なのかな?

 怖い天使だったりしないよね……


 トントン


 マンドラゴラの赤ちゃん……

 トンカチで叩いているけど大丈夫かな?

 卵の中の生き物にいきなり食いつかれたりしないよね?


「ルゥ……? どうした?」


 ハデスがキッチンに入って来た。


「ハデス、もしかしたら天使の卵かもしれないって……」


「天族の卵? マンドラゴラが叩いている卵がか?」


「うん……ハデスには何か分かる?」


 ハデスが卵をじっと見つめている。


「元々、天族は卵で産まれるが……天族だとすれば追放された者のはずだ。だが……もう追放される者はいないはずだが」


 そうだよね。

 じゃあ、この卵の中には何が入っているのかな?


「まさか……」


 ハデス?

 何か分かったのかな?


「ハデス? 何か怖いものが入っているの?」


「いや……もしかしたら」


 コンコンコンコン


「キュキュイ!」


 え?

 赤ちゃん?

 どうしたの?

 抱っこしていた腕から抜け出しちゃった。

 まさか逃げたの!?


 卵にヒビが入った!

 大丈夫かな?

 怖いものじゃないよね?


 卵の殻の中に何かが見える。


「ピュイ……」


 ……!?

 な……

 なんて……

 かわいいっ!

 真っ白いヒヨコちゃん!?

 しかも『ピュイ』!?

 撫でたい!

 吸いたい!

 ……いいかな?

 撫でたら怖がるかな?

 噛まれないかな?


 手を伸ばして触るとフワフワでいい匂いがする。

 かわいい。

 気持ち良さそうに目を閉じている。


「ハデス……この子すごくかわいいよ? 島にいさせてもいい? ちゃんとお世話するから」

 

「……」


 ハデス?

 黙ってヒヨコちゃんを見つめているけど、嫌なのかな?


「ハデス?」


「……ああ、そうだな。そうすればいい」


 ハデス……

 どうかしたのかな?


「おい、この気配……」


 ベリアルが飛びながらキッチンに入って来た。


「やっぱり、デメテルじゃないか……どうして……?」


 デメテル……?

 デメテル……

 どこかで聞いた事がある……?


「ベリアル……」


 ハデスが怖い顔でベリアルを見ている。

 もしかして、ハデスも知り合いなのかな?


「あ……いや、間違いかな?」


 ベリアルがごまかしている?

 何だろう?

 このヒヨコちゃん……

 懐かしい感じがする?

 

「ルゥ……これは……天族だ。追放されて来たようだな。行く所もないようだし、このまま島にいさせよう」


「え? いいの?」


 ヒヨコを抱っこするとフワフワで甘い匂いがする。

 

「この子、デメテルっていうの?」


「そうだ。だが……少し呼びにくいな」


 ハデス……?

 名前が長いっていう事かな?


「うーん……じゃあ……デーちゃん……メーちゃん。メーちゃんがかわいいかも。でも真っ白だしユキちゃんとかもかわいいな。ハデスは、どんな名前がいいと思う?」


「……難しいな。ルゥの呼びやすいように呼べばいい。ゆっくり決めよう。急がなくてもいい……」


「うん。そうだね。ずっと呼ぶ名前だから、ちゃんと考えてあげないとね」


 かわいい名前を考えてあげないと。

 従魔にならないから、ちゃんとした名前で呼べるんだね。

 嬉しいな。

 また新しい家族が増えたよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ