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ルゥと卵~前編~

 今日はヴォジャノーイ族のおじちゃん達とプリンを食べる約束をしている日。

 魔王城から幸せの島に帰り、プリンを作り始める。

 まだ朝食まで時間があるからマンドラゴラ達とゆっくり卵を割っている。


「キュッキュイ?」


 マンドラゴラ達が持つと卵が大きく見えるね。

 今日の卵は大きいからわたしも一緒に持ってあげている。

 一生懸命、硬い殻を割ろうとしている。

 かわいい……

 またニヤニヤしちゃう。


「ギュッギュイ……」


 卵を抱えてテーブルにぶつけているけど、なかなか割れなくて大変そうだ。

 割れなくて泣いちゃいそう……

 わたしが力を入れて割ってもいいけど……

 

「そうだ。ウェアウルフ王が作ってくれたオモチャのトンカチがあったね」


 これなら割れるかも。

 殻が入っても取ればいいし。


 ボウルに卵を入れて、マンドラゴラの赤ちゃんを抱っこする。


「トントンして割ってみようか?」


「キュキュッ」


 トントントントン


 かわいいっ!

 一生懸命トントンしている。


 それにしても、ずいぶん硬いな。

 こんなに硬い殻は初めてかも。

 いつもと違う卵だからかな?


 ハーピーちゃんが産まれてからは魚族が交代で卵を届けてくれているから、毎日違う卵なんだよね。

 毎朝波打ち際に届けてくれる時にお礼を言うんだけど、今日は卵が置いてあったんだよね。

 誰が持って来てくれたんだろう?


「姫様、失礼します」


 魚族長……

 まだ見慣れないな。

 陸に上がれるのがすごく嬉しそうだよ。


「魚族長、いらっしゃい。なんだか不思議だね」


「はい。嬉しくてずっと陸にいたいくらいです」


 本当に嬉しそうだ。

 マンドラゴラ達も陸に上がっている魚族長に興味があるみたい。

 もうマンドラゴラのお姉ちゃんが抱っこしてもらっている。


「魚族長は温泉も入れるのかな? やけどしたりしないかな?」


「どうでしょうか。入ってみないと分かりませんが……前から入ってみたかったのです」


「そうだね。これからは何でも一緒にできるんだね」


「はい。これから起こるであろう楽しい出来事を想像するだけで嬉しくて」


 魚族長の幸せそうな笑顔を見ているとわたしまで嬉しくなっちゃうよ。


「キュッキュイ!」


 あ……

 マンドラゴラの赤ちゃんが卵を割ろうとしてトンカチを振っている。


「……あれ? 卵……?」


 魚族長が首を傾げている?


「うん。波打ち際に置いてあったよ?」


「おかしいですね。今日はわたしが卵を持って来る日ですが……誰か間違えて持って来たのか……?」


「今日は宴だから、たくさん必要だと思って誰か持って来てくれたのかもね」


「その卵……どこかで見たような? うーん……どこだったか」


 魚族長が考え込んでいる。

 魚族の卵なのかな?

 鳥の卵に見えるけど。


 トントン


 マンドラゴラの赤ちゃんがトンカチで殻を割ろうとしている。


 コンコン


 あれ?

 今、卵の中からコンコンって聞こえた?


「姫様、この卵……中に何か生き物が入っています」


「え? 魚族長……生き物って?」


 何かの雛とか?

 ハーピーちゃんみたいに、かわいい赤ちゃんが入っていたりして。


「姫様……ヴォジ……ハデス様は今どこに……」

 

 魚族長?

 ハデスに卵の事を訊きたいのかな?


「どうしたの? 魚族長……」


 パパがキッチンに入って来ながら魚族長に尋ねた。


「ああ、オーク。この卵……何の卵だったか。オークは分かるか?」


「……? 何だろう。初めて見る卵だよ?」


「うーん、最近見たような……どこだったか……」


 最近見た?

 何の卵なんだろう?

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