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田中のおじいちゃんと神様

「あ、そうだ。田中のおじいちゃん」


 神様に話しかける。


「なぁにぃ? あ……」


 やっぱり、田中のおじいちゃんだ。


 しまったっていう顔をしているっていう事は内緒にしたかったのかな?

 神様って呼んだ方がいいのかな?


「ルー……なぜそれを知っている? まさか……覚えているのか?」


 え?

 覚えている?

 何を?


「何となく雰囲気とかが田中のおじいちゃんに似ていたから。話し方は全然違うけど、話す時に手を動かす仕草が同じだし……それに、わたしを見る優しい瞳がおじいちゃんと重なって……でもどうして神様が集落で暮らしていたの?」


 じいじと神様が黙っちゃったね。

 訊いたらダメな事だったのかな?


「ルー……それは……」


「ルゥ、じいじから話そう」

 

 神様が途中まで話すと、じいじが話し始める。


 見慣れないな。

 赤黒い翼の天使か……

 見た目は全然違うけど、やっぱりじいじなんだね。

 かっこよくてドキドキする。


 ……あれ?

 なんだろう?

 ずっと前に天使の姿のじいじを見た事があるような……?


「ルゥ……神はイナンナの知り合いだったのだ。それでイナンナの魂を守る為に集落で暮らしていた。何度も大天使達からイナンナを守っていたらしい」


 神様はイナンナさんと知り合いだったの?


「神様……イナンナさんの事を守っていたっていう事は、集落のおばあちゃんを守ってくれていたんだよね? 本当にありがとう」


「あぁ……いや、ルーよ。……お月ちゃんを最後まで守り抜けなくて、すまなかった」


 お月ちゃんか……

 そういえば、おばあちゃんの事をそう呼んでいたね。

 懐かしいな。


「宝くじが当たって世界旅行をしていると思っていたけど……」


 もしかして天界に戻っていたのかな?


「あぁ……それは……天界に用事ができて……」


 そうだったんだね。

 

「忙しいのに、ずっとわたし達を守ってくれていたんだね。ありがとう。これからも、また会える?」


 神様だし忙しいから無理かな?


「ルー、わたしは……これだけは覚えておいて欲しい。ルーには誰よりも幸せになって欲しい。お願いだから自分を大切にしておくれ」


 自分を大切に……?

 そうだね。

 ルゥの身体を借りているんだから大切にしないとね。


「うん。ありがとう。それとね……神様に会ったらお礼を言いたかったの。ブラックドラゴンのおじいちゃんを助けてくれてありがとう」


 処刑されてもおかしくなかったのに、ばあばの近くに追放してくれたんだよね。

 神様は、田中のおじいちゃんの頃もすごく優しかったな……


「ルー、親というのは……子の幸せの為になら夜叉にもなれる。悪いのは全てわたしなのだ……だから……自分を責めないでおくれ」


 ……?

 神様……?


「ああ……もう帰らないと。ルー、また遊びに来るよ」


「……? うん。神様、ありがとう」


 神様が、ヴォジャノーイ族の姿のじいじの身体を抱えて光の中に消えていく。


 リビングにじいじと二人きりになった。

 天使の姿のじいじが、すごく辛そうな顔をしている。


「ルゥ……すまなかった」


 じいじが抱きしめてくれる。


 いつもと違うな……

 ヴォジャノーイ族の姿のじいじよりも、少しだけ小さいかな?

 それでも、わたしよりかなり大きい。


「どうして謝るの?」


 天使だった事を黙っていたからかな?


「……ルゥを傷つけてしまったからだ」


 え?

 何の事だろう?


「じいじ……?」


 すごく悲しい瞳だ。


「ルゥ……これからはハデスと呼んでくれ。わたしは、じいじとしてではなく……一人の男としてルゥを守る……だから……」


 抱きしめてくれるじいじの温もりが心地いい。

 ヴォジャノーイ族の頃と違って、もうひんやりしないんだね……


「……うん。……ハデス。ありがとう」


 ……?

 何かな?

 一瞬、変な感じがした?

 わたし……

 ハデスっていう名前を知っていた……?

 気のせい……だよね?


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