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十五歳の誕生日(7)

「じゃあ、そろそろルゥとお兄さんの宴を始めましょうか?」


 ばあばの言葉で宴が始まった。


 パパのおいしいごはんと、おばあ様達が持って来てくれた珍しいお菓子。

 どれを食べても全部おいしい。

 幸せだよ。

 おいしくて、ずっと食べていられる。


「キュッキュイ!」


 マンドラゴラの赤ちゃんがベリアルの所に、さっき創ったピーちゃんのぬいぐるみを持って行って話している。


 何!?

 かわい過ぎる!

 

「おい、何て言ってるか分からないぞ?」


 ベリアルがウェアウルフ王に尋ねているね。


「あぁ、このシームルグも動くようにして欲しいようです」


 あれ?

 でも、動くようにするには魂が必要なんだよね?


「あぁ、そうか。魂がないからな。動かないぞ? それは入れ物だからな」


 ベリアルがマンドラゴラの赤ちゃんに話しかけている……

 かわいいっ!

 カメラがあれば……

 仕方ないね。

 脳内にしっかりと記録しておこう!


「キュ……キュイ……」


 マンドラゴラの赤ちゃんが泣きそうになっている。

 どうしよう。

 マンドラゴラの悲鳴は耳がやられちゃうんだよね……


「やれやれ……オレに見せてみろ」


 波打ち際から声が聞こえてくる。

 

 この声は……

 ドワーフのおじいちゃんだ。

 遊びに来てくれたのかな?


「ゼンマイで動くようにしてやろう。貸してみろ」


 ゼンマイ?

 動くおもちゃ?

 そんな物まで作れるんだ。


「おじいちゃん、遊びに来てくれたの?」


 マンドラゴラ達が起きている時は、髭を引っ張られるのが嫌で来なかったのに。

 明るいうちから来るなんて珍しいね。


「ああ。今日出発する友を見送りにな。それに、浮遊島の手入れも頼まれたからな」


 そうか……

 おじいちゃん達は今日、異世界の集落を調べに行っちゃうんだよね。

 寂しくなるよ。

 浮遊島の準備が終わればグリフォン王達も行っちゃうんだ。


 想像しただけで悲しくなっちゃうよ。

 でも、泣かないって決めたんだ。

 笑顔で送り出したいから。


「ほら、できたぞ? このゼンマイを回してみろ」


「キュキュ?」


 ジー

 カタカタカタ……


 音をたててピーちゃんのぬいぐるみが前に進む。


「うわあぁ! すごいよ!」


「キュキュイ!」


 マンドラゴラの赤ちゃんとお姉ちゃんがすごく喜んでいる。

 

 遊んでいる姿がかわい過ぎる!

 ずっと見ていられるよ。


「ウェアウルフよ。ゼンマイを巻き過ぎると壊れるからな、その時は……」


 ドワーフのおじいちゃんが、ウェアウルフ王に直し方を教えている。

 そうだね。

 明後日からはずっとウェアウルフ王が島にいてくれるんだ。

 マンドラゴラ達はウェアウルフ王が大好きだから嬉しいだろうな。


「ルゥ達は新婚旅行とやらには行かないのか?」


 マンドラゴラ達に髭を引っ張られているドワーフのおじいちゃんが尋ねてくる。


「うん。まだ体調が戻らないんだ。もうしばらくは、大人しくしているつもりだよ?」


「そうか……世界中にオレが作った温泉があるからな。動けるようになったら行ってみればいい。寒い所なら、温泉好きのジャックフロストもいるだろう。温泉に入りながら、ゆっくり遊んでくればいい。地図を描いておいたからな」


「ありがとう。今度行ってみるね。マンドラゴラ達も温泉が大好きなんだ。一緒に行こうね」


「「キュイ!」」


 ピーちゃんのぬいぐるみで、ご機嫌で遊んでいるマンドラゴラの赤ちゃんとお姉ちゃんがかわいい声で返事をする。

 

 かわいいっ!

 あぁ……

 幸せだ……


 でも、やっぱりマンドラゴラのお兄ちゃんは元気がないみたいだね。

 最近はずっと悲しそうにしているんだ。


「ウェアウルフ王はこの島にいるなら移動手段が必要だろう? 贈り物があるぞ?」


 波打ち際に贈り物を見に行ったウェアウルフ王が喜んでいる。

 なんだろう?

 今まではレモラ族に乗って来ていたよね?


「これは、いつも師匠が乗っている機械ですね」


 師匠って呼んでいるんだ。

 仲良しなんだね。

 いつも乗っている機械ってなんだろう?

 ドワーフのおじいちゃんもレモラ族に乗っているんだと思っていたけど……?


「機械って何?」


 どんな物なんだろう?


「ルゥも気になるか? これだ。レモラ族の形の機械だ。魔法石があれば簡単に動かせるぞ?」


 ドワーフのおじいちゃんは、今までこれに乗って海を移動していたんだね。


「魔法石ですか……なかなか手に入らないのです」


 ウェアウルフ王が残念そうにしているね。

 

 魔法石?

 いつものやつかな?

 

「それなら、わたしが力を入れるよ?」

 

 ドワーフのおじいちゃんにも、来るたびに魔法石に力を入れているんだよね。


「よろしいのですか?」


 ウェアウルフ王の表情が明るくなった。

 いつもお世話になりっぱなしだから、このくらいはしないとね。


「もちろんだよ。いつでも言ってね」


 嬉しそうなウェアウルフ王の顔を見ると、わたしも笑顔になっちゃうよ。

 

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