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少しずつ変わるもの~前編~

 夕方___


 いつもなら王様達は帰っている時間だけど、今日はママの卵から赤ちゃんが産まれるから立ち会ってくれるらしい。

 新しいハーピー族長と、数人のハーピー族も来てくれている。

 ハーピー族は皆すごく綺麗だ。

 

 もう千年以上ハーピー族には男の子が産まれていない。

 だから、ハーピー族は強そうな異種族の男性にパートナーになってもらえるようにお願いしているんだって。

 普段は、貴重な子孫繁栄の実をハーピー族とパートナーの皆で分けて食べているらしい。

 だから、ひと口ずつくらいしか食べられないんだって。

 でも今回はパパとママで丸ごとひとつ食べたし、パパはエメラルドのオークだから……

 ハーピー族の皆は男の子が産まれるんじゃないかって期待しているんだって。


「ママ? 赤ちゃんはハーピー族なのかな? オーク族なのかな?」

 

「子孫繁栄の実を食べた時は、母親の種族の子が産まれるんだ。だから、ルゥの弟か妹はハーピー族だぞ?」 


 そうなんだ。

 ……ハーピー族は肉食だけど、わたしを食べようとしないかな?

 不安になってきちゃった。


「ヴォジャノーイちゃんは、お出かけ中なの?」


 ばあばが卵を見ながら尋ねてくる。


「うん。今日は王様達が夕方までいてくれるからって、朝からお出かけしているよ?」


「そうなのね。もうすぐ産まれそうだけど間に合うかしら?」


 産まれそう?

 ついにお姉ちゃんになるんだ。


「それにしても……ヴォジャノーイちゃんは王達の事を信頼しているのね」


 ばあばがグリフォン王とウェアウルフ王を見ながら微笑んでいる。


 王様達の事を?

 そういえば、犬猫とは言っているけど……

 他の王様達への態度とは少し違うかも。


「そうだね。じいじはグリフォン王とウェアウルフ王の事を頼りにしているみたいだよ。今日もお出かけする時に、二人がいれば安心だって言っていたし」


「大切なルゥを任せるくらいだものね。いつもルゥを守ってくれてありがとう。でも、毎日国を空けていて大丈夫なのかしら?」


「実は息子に王位を譲ろうと考えているところでして……浮遊島を今まで通り使わせていただけてグリフォン族一同、感謝しています」


 グリフォン王が譲位するの?

 でも……


「王様じゃなくなるの? まだ赤ちゃんは小さかったよ?」


 この前、浮遊島で会った赤ちゃんが王様になるの?


「あれは、末の子でして。上の子はもう大きいのです。わたしもそろそろパートナーとつがいになり、のんびり暮らそうかと考えています」


 あの綺麗なパートナーさんと?


「じゃあ、つがいのお祝いに割れた方の浮遊島をあげようか? 大天使が隠していたのが見つかってね。住みにくければドワーフに直してもらえばいいよ」


 おじいちゃんは、イナンナさんとの浮遊島を全部あげちゃうんだね。

 イナンナさんの記憶がないばあばに気を遣っているのかな?


「よろしいのですか? ありがたいです。浮遊島の流れるままに、のんびりと世界旅行でもしてみます」


 グリフォン王が嬉しそうに笑っている。

 王様だから今までは気が休まる暇もなかったんだろうな……


「わたしも浮遊島の整備を手伝うぞ? そうか、つがいになるのか……」


 ウェアウルフ王は少し寂しそうだ。

 二人は仲良しだからウェアウルフ王は寂しくなるね。

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