表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/402

集落の謎とベリアル~前編~

 そういえば前にいた世界で……

 結婚の為に集落の外から来た皆が短命だったのは、まだ集落に魔素が残っていたからなのかな?

 元々集落にいた皆は、一歳になると神様の植えた木の実を食べていたから死なずに済んでいたのかな?

 おじいちゃんは昔、集落に創った温泉を『湯気の出る泉』って言っていたよね?

 でも、イナンナさんとの島にあるのは『温泉』って言っていた。

 何か違いがあったのかな?


「おじいちゃん……? 他にも気になっていた事があるんだけど訊いてもいいかな?」


「もちろんだよ? 何かな?」


「集落の事なんだけど……どうして集落の外から来た皆は短命だったの? それと、どうして温泉じゃなくて泉って言っていたの?」


「あぁ、あの泉のお湯は熱過ぎて入れなかったんだよ。湯気を出す為に創った物だったからね。集落の外から来た人間が短命だったの? それはどういう事?」


 あれ?

 おじいちゃんは知らなかったのかな?

 それとも、天使は長生きだから人間の短命とかは気にならなかったのかな?


「集落の人間同士の結婚は禁止されていたの。結婚して集落の外から入って来た人間は、なぜか子供が産まれるとすぐに亡くなっていたの」


「え? どうしてかな? 集落の人間同士は結婚できなかったの? それに、子が産まれると外から来た人間が亡くなるって……?」


「神様の血を守る為なのかなって思っていたの。近過ぎる血で集落が滅びそうになったって。でも昔話とは違って、イナンナさんは子供をたくさん産んではいなかったみたいだし……イナンナさんの子孫同士が結婚しない為? その為に集落の外から結婚相手を連れて来たにしても、どうして子供が一人産まれるとすぐに片親が亡くなっていたんだろう?」


 そういえば、集落は大体が三世帯とか四世帯だったけど田中のおじいちゃんだけは独り暮らしだった。

 だから、詐欺師に騙されて布団を買わされちゃったんだよね。

 

 田中のおじいちゃん……

 宝くじが当たってから一度も集落に帰って来なかったけど元気かな?

 手紙は、よく送ってきたけど……

 ピーちゃんが帰って来たら集落がどうなっていたか訊いてみよう。 


「集落の外から来た人間は出産した女性だけじゃなくて、元気だった男性も子供が産まれるとすぐに亡くなっていたの。魔素のせいだとしたら産まれたての赤ちゃんも生きられないんじゃないかな?」


「……ルゥの言う通りね。そういえば一度集落に行った時……不思議な感じがしたわね。ルゥのいた世界には人間しかいなかったはずよね? なんとなくだけど天族の気配がしたわ? まあ、わたしを集落に移動させたのが天族だから当然と言えば当然なんだけど……」


 ばあばは天使の気配を感じたの?

 大天使が、ばあばを移動させていたんだよね。

 じゃあ大天使も集落に来ていたのかな?


「ルゥ? 集落の泉は、ぬるかったの? 湯気は出ていたんだよね?」


 おじいちゃんが尋ねてきたけど、わたしが最後に集落の温泉に入ったのは十年以上前なんだよね。


「うん。ちょうど気持ちよく入れるくらいの温度だったよ。でも、ちゃんと湯気は出ていたよ?」


「おかしいな……ぬるくなるはずないんだけど。大天使が何かしたのかな?」 


 そうなの?


「おばあちゃんのおばあちゃんが子供の頃にはもう温泉に入っていたって聞いたよ?」


「そうか……何かおかしいな。おじいちゃんが調べてみるよ」


 調べるの?

 どうやって?


「おじいちゃんは集落に行けるの?」


 何回か行ったんだよね。

 神様じゃなくなったけど、まだ行けるのかな?


「うん。行けるよ。でも時間のズレがあるんだよ。ルゥとセージがこっちの世界に来た時はズレがなかったんだよね? その時によってズレ方が変わるんだ。不思議だね」


「じゃあ、わたしがピーちゃんに会いに行く事もできるの!?」


 泣いているんじゃないかって心配なんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ