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ピーちゃんとのお別れと天族

「陽太君……今頃おじちゃん達に会えたかな?」


 お父さんが少し寂しそうに話しかけてきた。


「きっと会えたよ……」


 まさか、ここまで来て自称神様がピーちゃんを騙しているとは思えない。

 ちゃんと集落に帰ったはずだよ。

 いつの間にか自称神様を信じようとしている……

 信じても大丈夫なのかな?

 ピーちゃんが、これから先の長い時間を寂しく過ごし続ける事を考えると……


「ピーちゃん……寂しくないのかな?」


 ピーちゃんの一人残された姿を想像すると涙が溢れてくるよ。


「ルゥ……? どうして泣いている?」


 じいじが心配そうに優しく抱きしめてくれた……

 ピーちゃんも今頃家族に抱きしめてもらっているのかな?

 鳥の姿だけど受け入れてもらえたのかな?

 でも……


「じいじ……ピーちゃんは家族が亡くなったらずっと、ひとりぼっちで生き続けないといけないの……」


 かわいそうだよ。

 やっと会えたのに、またすぐにひとりぼっちなんて……


「ルゥにはあの時のシームルグの声が聞こえなかったのか……」


 ピーちゃんの声?


「ピーちゃんは皆に『ありがとう』って言っていたよ?」


「その後の言葉は?」


 そういえば何か言っていたけど。

 よく聞こえなかった。


「『ルゥちゃん、ボクもう一度帰って来るよ』と言っていました」


 グリフォン王が優しく微笑みながら教えてくれたけど……

 もう一度帰って来る?

 どういう事?


「もしかしたら天族がそう約束したのかもしれないな。だとしたら、本当に利用するつもりはないのか……それともシームルグがこの世界に戻ったら利用するつもりなのか……」


 じいじの言う通りだ。

 自称神様を信じるのは、まだ早いのかも。

 一旦信用させて、それから利用するつもりなのかもしれないし……

 はぁ……

 何が真実なのか全然分からないよ。


「本当に元の世界に戻ったのかすら誰にも分かりませんし。まだ信用してはいけませんね。シームルグは簡単に騙されますし……」


 グリフォン王がため息をつきながら話している……

 ピーちゃんは確かに騙されやすいからね。


「月海。とりあえず……今はドラゴン王が帰って来たらグリフォン王国に行って、夜になったらまた話し合おう。そろそろドラゴン王が帰って来るだろうし……」


 お父さんもばあばの気配を感じたみたいだね。

 今はまだかなり離れた場所にいるから話は聞かれていないよね? 

 お父さんにも浮遊島に一緒に行って欲しいけど、忙しそうだから無理かな……

 

「浮遊島の次にウェアウルフ族の島に行くが、遥か昔から生きている者にドラゴンの話を訊くのはやめよう。また後でドラゴン王がいない時に、じいじが行って訊いて来る。だからルゥは心配しなくていい」


「じいじ、いつもありがとう」


 本当にありがたいよ。


「ドラゴン王が帰って来ましたね」


 グリフォン王が空を見上げた。

 

 ばあば……

 天使とどんな関係があるんだろう。

 でも、ばあばはいつも優しくてわたしを大切にしてくれる。

 ドラゴンじゃなくて天使でも、大好きなばあばに変わりないよ。

 だから、どうか真実を知ったばあばが傷つきませんように……


「今帰ったわ。遅くなったかしら?」


 ばあばが、ドラゴンから人間の姿になった。


 やっぱり、白い髪に金の瞳だ。

 わたしの考え過ぎだったらいいけど……


「ルゥ? どうかした?」


 ばあばが心配してわたしの顔を覗き込んだ。

 やっぱり、ばあばは優しいね。


「ピーちゃんがね、集落に帰ったの」


「え? 天族が帰したの? てっきり、ルゥの子供になるかと思ったのに」


「でもね、しばらくしたら帰って来るらしいの」


「……? それって、何かをさせる為なんじゃないの? でも、どうして一度帰したのかしら?」


 ばあばもそう思うんだね。

 どう考えても、そうとしか思えないよね。


「とりあえず、ブラックドラゴンが帰って来たら連絡するように伝えては来たけど……たぶんドラゴンの島には来ないはずよ? あの子は島に寄り付かないから」


 やっぱり、そうか……

 偽者のブラックドラゴンっていうのは事実なのかも……

 でも……

 ブラックドラゴンのおじちゃんなら優しいから訊いたら教えてくれそうだと思ったけど。

 天使と繋がっているなら、はぐらかされるかな?


「じゃあ、グリフォン王。道案内を頼むわね?」


 そう言うとばあばがドラゴンの姿になる。

 ばあばの背にわたしとじいじが乗ると……

 

「キュキュイ!」


 あれ?

 マンドラゴラの子供達が騒いでいる?

 もしかして一緒に行きたいのかな?

 

「一緒に来る?」


「キュイ!」


 マンドラゴラ達はウェアウルフ王が大好きだから会いたいのかな。

 子供達が行くならベリアルも行きたいよね。

 

 波打ち際に置いてあったバスケットに子供達とベリアルに入ってもらって出発する。  

 

 グリフォン王国とウェアウルフ王国か……

 醤油を作っている国はまた今度行く事になったけど。

 一か月待たなくて平気なのかな?

 とりあえず、今日は石碑を調べてからジャックフロストに会って来るんだよね?

 何か分かるといいけど……

 

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