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ばあばとブラックドラゴン~後編~

 浮遊島の持ち主?

 浮遊島は神様が創った……

 ブラックドラゴンのおじちゃんは堕天使からそう聞いたんだよね。

 誰かを住まわす為に創ったって……


「浮遊島は初めから誰も住んでいなかったのかな?」


 お父さんが従者に尋ねた。


「はい。浮遊島は突然現れたのです。温泉があったかと言われると昔過ぎて覚えていません。ですがグリフォン族の物になってしばらくして、ふたつに割れたのは確かです」


 かなり昔の事なんだね。


「こう考えるのはどうかな? 確か集落の昔話で、神は少女に『少し待て迎えに来るから』って言ったんだよね? 少女を浮遊島に連れて来ようとしたんじゃないかな? 浮遊島なら魔素の無い場所に移動できるし」


 お父さんが考えながら話し始める。


 確かに、そうも考えられるけど……

 神様は、どうして少女を神様の世界に連れて行こうとしなかったのかな?

 少女が人間だから?


「でも、浮遊島はグリフォン族の物になっていて、仕方なくふたつに分けた。そして、火山と温泉がある方に少女を住まわせる事にした。でも少女を迎えに行くと、もう少女は亡くなっていた……?」

 

 お父さんが話を続ける。

 

「だとすれば……ドワーフが何か知っているかもしれないね。月海の言う通り、もしかしたらドラゴン王は何か関わりがあるのかもしれない。でも……ドラゴン王は何も知らない様子だったね」


 確かに……

 そんな感じだったよ。


「もうひとつ話しておかなければいけない事があります。ブラックドラゴンの事ですが……あれは、もしかしたら天族に深く関わっているかもしれません」


 グリフォン王の従者のもう一人が話し始めたけど……

 どういう事?


「ずいぶん前なのですが……空の見回りをしていた時、見てしまったのです。怪しげな光の空間に入るブラックドラゴンを……」


「そういえば、そう報告を受けた事があるな……」


 グリフォン王が真剣な顔をして考え込んだ。


「……何がだ?」


 じいじがいきなり話し始めた?

 ……?

 どうしたんだろう?


「ルゥ、魚族長が話があるらしい」

 

 え?

 わたしには何も聞こえなかったけど。

 魔族は耳がいいんだね。


 魚族長は陸に上がれないから、全員で波打ち際まで向かう。

 波打ち際に着くと、バスケットに入ってご機嫌だったマンドラゴラの子供達が楽しそうに砂遊びを始めた。


「先程の話ですが……」


 魚族長が話し始めたけど……

 すごいな。

 魔王城の中で話していたのに全部聞こえていたんだ。

 ブラックドラゴンのおじちゃんは幸せの島と橋だけじゃなくて、魚族のいる海も結界の中に入れてくれたんだ。

 どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう?

 ブラックドラゴンのおじちゃんは天使と関わりがあるのかな?

 ばあばは、おじちゃんがこの世界にいる堕天使に友達がいるって言っていたよね?


「わたしは……幸せの島から飛び立つブラックドラゴンを見て驚きました。あり得ない……ブラックドラゴンは、もうずいぶん昔に死んでいるのですから」


「ブラックドラゴンが死んでいる?」


 魚族長に、じいじが真剣な顔で尋ねた。


「はい。あれは浮遊島の戦いより、遥か昔。ブラックドラゴンの亡骸が空から落ちてきたのです」


 ドラゴンは永遠の命を持っているんじゃなかったの?

 どうして死んだの?


「外傷などは見当たりませんでした」


 外傷がなかった?

 病死だったの?


「同じ色のドラゴンは存在しません。今いるブラックドラゴンは偽者ではないかと……」


 偽者?

 だとしたら、おじちゃんは誰なんだろう?

 わたしに優しくしてくれる理由は何?

 ばあばは、本物のブラックドラゴンだと思っているみたいだし。

 そういえば、ドラゴンの島にはあまり帰らないみたいな事を言っていたよね。

 偽者だとバレない為?

 じゃあ、一か月待つように言ったのはどうしてなんだろう?


 もっと分からなくなってきた……

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