ばあばとブラックドラゴン~前編~
こうして、わたし達はグリフォン王国に行く事になった。
浮遊島……
どんな所なんだろう?
わたしは今までの経緯を王様達に全て話した。
ウェアウルフ王と従者の二人は、レモラ族と先に帰る事になった。
ジャックフロストに話を訊いておいてくれるらしい。
ウェアウルフ王は眠そうだけど大丈夫かな?
パパとママとお父さんは一緒には行かずに幸せの島に残る事になった。
お父さんは魔王城で大量の仕事があるらしい。
ばあばは、出発までに一度ドラゴンの島に戻った。
ブラックドラゴンのおじちゃんが帰って来たら連絡をくれるように、ドラゴン達にお願いしに行ってくれたんだ。
今ここにいるのは、わたしとじいじとお父さん、マンドラゴラ達、ベリアルとピーちゃん、それからグリフォン王と従者二人だ。
わたしは気になっていた事を話し始めた。
「あのね……わたしの話を聞いてくれるかな?」
「もちろんだ。何か気になる事があるのか?」
じいじが優しく微笑んでくれる。
「うん……ばあばの事なんだけど……白い髪に金の瞳……だよね?」
人間の姿の時はその容姿なんだよね。
「そうだな。それがどうかしたか?」
じいじが不思議そうにしている。
「前の世界の集落の少女の事なんだけど……白い髪に山吹色の瞳だったって、ピーちゃんは話していたよね?」
「ソウダヨ。ソウ、キイタヨ?」
やっぱりピーちゃんの家ではそう言い伝えられていたんだね。
真剣に考え込むわたしに、魔族の皆がよく分からなそうな顔をしている。
「山吹色ってこの世界では使わない言葉なのかな? 金色みたいな色なの」
ばあばと同じ瞳の色。
髪も白だし……
偶然なのかな?
でも……
「わたし思うの。全て自称神様の思惑通りに進んでいるって。ばあばが集落の温泉に来ていたのも何か関係があるんじゃないかって……」
考え過ぎかな?
「月海……思うんだけど、もしかしたら自称神はお父さん達を利用しようとしているんじゃないのかも……」
お父さん……?
「お父さんが自称神に会った時、すごく優しい顔をしていたんだ。そして寂しそうにも見えた」
そうか……
お父さんは自称神様に会っていたんだ。
「ピーちゃんも会っているんだよね?」
「サイゴニ、アッタトキ、コワカッタ。デモ、ソレ、イガイ、ヤサシカッタ」
最後以外は優しかった……?
「最後に会った時に何かあったの?」
「ワカラナイノ。デモ、ボク、ゼンセモ、イマモ、ルーチャン、マモレナクテ、ムリョクダッテ、イワレタ」
自称神様は、ピーちゃんがわたしを守れなくて怒っていたの?
「考え方を変えた方がいいのかな? 年をとる実も、早くわたしに永遠に近い命を与えさせる為に優しさでくれたのかな?」
でも、どうして?
「あの……聖女様。ドラゴン王の事ですが……わたしはこの中で一番長く生きていますので……」
グリフォン王の従者の一人が話し始めた?
「ドラゴン王がまだ王になる前、というより……この世界に現れた時の事です。海が激しく波立ち大地が揺れ、目が開けられないほど周囲が光り輝きました。やっとの思いで目を開けると、そこにホワイトドラゴンの赤ん坊がいたのです」
ドラゴンは卵で産まれるのかと思っていたけど。
違うのかな?
「いきなり現れたのか? ドラゴンは卵から産まれるはずだが?」
じいじ……
やっぱり、ドラゴンは卵から産まれるんだね。
「あれは、誰が浮遊島の持ち主になるかの争いの時です。多くの魔族が見ていました」
……どういう事?
もしかして、ばあばは普通のドラゴンじゃない……とか?




