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違和感~後編~

「我がウェアウルフ族は自然と深く関わる種族。ジャックフロストとも会話ができます」


 ええ!?

 そうなの!?


「ウェアウルフ王は、すごいんだね」

 

「……! 褒められた……あ、いえ……その……我がウェアウルフ王国にいるジャックフロストに尋ねれば、どこにどれだけいるか分かるでしょう」


 ウェアウルフ王が嬉しそうにしっぽを揺らし始めたね。


「待って!? そうよ!」


 ばあばが突然大声を出した?

 こんなに慌てるなんて珍しいね。


「そうよ! あの時の温泉! 小さい火山があったわ。ちょうど、ドワーフが作ったみたいな! それにあれはもしかしたら浮遊島だったのかも」


 浮遊島?

 グリフォン王の国みたいに浮かんでいる島?


「ルゥ? 浮遊島は神が創り出した島なの。あれから何度もあの場所に行ったのに見つからなかったのは、浮遊島だったからなのかも……」


 神様が?


「昔、誰かを住まわせる為に創り出したらしいわ。ブラックドラゴンが堕天使から聞いた話だから間違いないわ」


 ドラゴンのおじちゃんが堕天使から聞いたの?


「もしかして堕天使じゃなくて、おじちゃんに訊いた方が安全なんじゃないかな?」


 色々知っていそうだよ。

 

「ダメね。あの子は世界中を遊び歩いているから。なかなか会えないのよ」


 そうか……

 残念。

 でも、おじちゃんは色々知っていて一か月待てって言ったんだよね?

 どうして理由を教えてくれなかったんだろう?


 とりあえず、今はジャックフロストを捜してみよう。

 ウェアウルフ王がいてくれれば心強いね。


 あれ?

 でも……


「ばあば? 前にいた世界の温泉には火山は無かったよ?」


「え? そうね。それが……確かにわたしはこの世界の温泉に入っていたけど吹雪がおさまった後、景色が変わったのよ。その時にルミだったルゥに会った……そしてもう一度景色が変わると火山があるこの世界に戻っていたの。少し前の事だから記憶が曖昧で……確か、そんな感じだったわね」


 どういう事かな?

 火山がある温泉?

 神様が創った浮遊島?


「火山の温泉なら、ドワーフに訊けば何か分かるのでは? それから、わたし達にもなぜジャックフロストを捜すのか教えていただけませんか?」


 ウェアウルフ王が真剣な顔で尋ねてきた。

 その隣でグリフォン王が何か考え込んでいる?


「聖女様……あの、今のお話ですが。浮遊島は大昔、我らグリフォン族が戦で勝ち取ったものなのです。といっても先々代のグリフォン王なのですが……グリフォン王国には島の歴史が描いてある石碑があります。そこに確か火山と泉が描かれていたような……それに、浮遊島は今はグリフォン王国しか存在していないはずです」


「え?」


 どういう事なんだろう?


「大昔に浮遊島はふたつに割れたらしいのですが……割れたもう片方はそれから誰も見ていません」


 もしかしてグリフォン王国の割れた片方が、捜している異世界に繋がる温泉の場所なの?

 何だろう。

 このピースがひとつずつはまっていく感じ……

 違和感しかない。

 まるで誰かに、こうなるように仕組まれたような?


 違う。

 誰かじゃない。

 あの人だ。

 自称神様……


 今、わたし達は自称神様に敷かれたレールの上をただ歩かされているだけなのかも……

 でも、なんだか急がされているようにも思える。

 自称神様は一体何を急いでいるんだろう?

 わたし達に何をさせたいの?

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