表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/402

家族の想い~後編~

「どっちの世界の生き物でもないのなら……天族の世界の生き物かしらね……」


 ドラゴン王のばあばが知らないなら……

 あの蛍みたいな光は、この世界の生き物じゃないんだね。

 天使の世界の生き物?

 もしかして……


「おばあちゃんがね、夜に歩き回る事があったの。その夜にだけ光る子とフワフワの子達が現れたの。何か関係があるのかな?」


「……そうね。ジャックフロストは、ただ寒い所にいるだけの子達だから何もできないのよ。光る子に何か関係がありそうね」


「おばあちゃんはね、前世の時に神様に好意を持たれたみたいなの」


 おばあちゃんは神様にもう一度会う為に生まれ変わったんだ。

 お互いに想い合っていたはず。

 

「もしかしたら、光る子がおばあさんを道案内していたのかもね……」


 道案内……?

 一緒に遊びたいみたいな感じはしたけど……


「ばあば……わたし、全部知りたいの。おばあちゃんの事も、異世界の人間がこの世界に連れて来られた本当の理由も。それと……自称神様が何をしようとしているのかも」


 もう少しで全て繋がりそうな気がする……

 

「今のわたし達にできるのはジャックフロストを捜す事ね。それから、ハーピーが無事に卵を産む事よ」


 ママ……

 わたしのせいで疲れちゃったよね。

 

「ママ、幸せの島に帰って休もう?」


 ゆっくり眠って疲れをとって欲しいよ。

 

「ママ……?」


 気持ち良さそうに眠っている……?

 いつの間にか光の力を使っていたみたい。


「ルゥ、パパはハーピーを連れて行くからヴォジャノーイと後からおいで」


 ……?

 パパ?

 変な感じがする……?

 あ、そうだ。


「ごめん、パパ。今日出かけていて花壇と野菜に水をあげられなかったの」


「それなら大丈夫だ。いつもの犬猫が島の事をやっていたはずだ」


 じいじが教えてくれたけど……

 犬猫が島の事をやっていた?

 犬猫って……

 まさか……


「ウェアウルフ王とグリフォン王?」


「そうだ。付いて来たがったからな、島の整備をさせておいた。ルゥの為だと言ったら喜んでいたぞ?」


 そういえば、イフリート王が山ほど仕事をさせているって言っていたよね。

 この事だったんだ。

 申し訳ないな。

 明日いっぱい撫でてあげよう……


「ルゥ……おやすみ。先に行くね?」


 パパがママを抱っこして幸せの島に帰る。

 あれ?

 パパ……?

 いつもと違う感じ?

 のんびり話さないし、少し痩せたような……


「ルーチャン、ベリアル、ココデ、ネテルカラ、ボク、ココニ、トマルネ」


 そうか。

 ベリアルはマンドラゴラ達と寝ているんだったね。


「うん。分かった。ピーちゃんが、おじいちゃん達に早く会えるように色々考えるね」


「ウン、アリガト」


 寂しいけど、ピーちゃんの気持ちを大切にしたいんだ。


「じゃあ……月海、おやすみ」


 小さいお父さんが抱きしめてくれる。

 

「お父さん……? あのね、わたしずっと幸せだったよ? 前世でも、今世でも……」


「……月海」


 前世では辛い時もあったけど、おばあちゃんと穏やかに過ごせる時間が幸せだった。

 今世ではたくさんの家族ができて賑やかで……

 あの頃とはまた違う幸せがある。


「お父さん……おやすみ」


「ばあばは魔王と話があるから、ヴォジャノーイちゃんと二人で帰ってね?」


 ばあば……

 じいじと話せるように気を遣ってくれているのかな?


「うん。ばあば、いつもありがとう。おやすみ」


 じいじと、幸せの島まで繋がる橋を歩く。

 夜の少しひんやりする空気……

 繋いでいるじいじの手もひんやりしている。

 

 空では星がキラキラ輝いている。

 波の音だけが響く橋の上で、じいじが話し始める。


「今日は……ハーピーが羨ましかった」

 

「え? じいじ? どうしたの?」


 じいじが誰かを羨ましがるなんて。


「ルゥの気持ちを大切にしたくて、じいじはルゥが前の世界に帰ってもいいと言った。だが……本当は……どこにも行くな」


 じいじがわたしを抱き寄せる。

 いつもより、ほんの少し強く抱きしめながら言葉を続ける。


「ルゥが……全てだ。じいじの幸せな記憶の全てにルゥがいる。ルゥがいない世界は暗闇で何も見えないだろう……ルゥは暗い海を照らす月のようだ」


 ドキドキする。

 夜の闇の中、息をするのを忘れるくらいじいじを見つめている。

 よく見えないな……

 でも、優しく見つめてくれているのは分かる。

 じいじの優しい手が、わたしのほっぺたに触れる。

 だんだん近づいてくるじいじの顔。


 じいじの柔らかい唇にもっとドキドキする。


 すごく幸せだよ……

 これからも、ずっと一緒に幸せを感じていたい……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ