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ばあばと異世界の温泉

今回は、ばあばが主役です。

 今頃、ルゥはお兄さんの宴から帰っている頃かしら?


 ハーピーとオークを旅行に連れて来たのはいいんだけど。

 結局ルゥに会いたいからって、人間の国でお土産をたくさん買い込んですぐ帰る事になったの。

 エメラルドのオークと、ハーピー族最高の戦士と呼ばれたハーピーがねぇ……

 まぁルゥはかわいいから、気持ちはよく分かるけど。


 幸せの島までの帰り道。

 妊娠しているハーピーの為に、途中の無人島で休んでいる。

 ドラゴンの背中に乗っての長距離移動は、妊婦には負担になるからね。 

 

 あら?

 この気配は……?


 すごい勢いで水の中を進むヴォジャノーイちゃんの気配ね?

 こんなに慌ててどうしたのかしら?


「ヴォジャノーイが近づいて来てるぞ? ルゥも一緒にしては速いな」


 ハーピーの言う通りね。

 ヴォジャノーイちゃんはルゥが一緒だとかなりゆっくり進むから。

 何かあったのかしらね?


「ここにいたか」


 ヴォジャノーイちゃんが陸に上がって来たわね。

 

 あらあら、怖い顔しちゃって。

 よほど大切な用事らしいわね。

 ドラゴンの島に魔王の事を尋ねに来た時と同じ顔だわ。


「どうしたのかしら? ヴォジャノーイちゃん?」


「ドラゴン……お前、異世界に行ったのか?」


 え?

 異世界?

 ルゥがいた世界って事?


「わたしは神や天族じゃないのよ? 行けるわけないでしょ?」


 どうしちゃったのかしら?

 

「ルゥがお前を見たと言っていた」


 ルゥが?

 わたしを?


「ちょっと、ヴォジャノーイちゃん。落ち着いて初めから話してちょうだい?」


「ルゥがまだ前の世界にいた頃、集落の温泉に白いドラゴンがいたらしい。フワフワした何かと光る何かもいたらしい」


 温泉?

 フワフワした何かって……

 まさか、あの子達の事かしら……


「魔王様のお母上と前世のルゥが、雪が降る温泉に行った時に会ったと言っていた」

 

 雪?

 魔王の母親って事は、老女よね?

 人間の女の子と老女……?

 

「待って? ヴォジャノーイちゃん、何を言っているの?」


 そんなはずないわ。

 だって、わたしはあの時……


「白いドラゴンはお前しかいない。どういう事だ?」


「ヴォジャノーイちゃん……あなた、少し落ち着きなさい。わたしまでソワソワしちゃうでしょ?」


 落ち着いて考えないと。

 異世界に、いつの間にか行っていたの?

 わたしはあの子達と、この世界の温泉に入っていただけよ?

 どういう事?


「ヴォジャノーイちゃん……前に話したわよね? 幻の温泉の事を。覚えている?」


「幻の温泉? ああ、今度ルゥと見つけに行く事になっているが……?」


「その温泉よ? 突然雪が降り始めてね。その時に見つけたの。その後に、何度も捜しに行ったけど全然見つからなかったのよ」


「どういう事だ?」


「わたしにも分からないわ。少し前の事だから記憶が曖昧なの。でも、いつもは何も無い場所に、いきなり温泉が現れたと思ったのは覚えているわ」


「いつもは何も無い場所に?」


 ヴォジャノーイちゃんが驚くのも無理はないわ。

 わたしも不思議だもの。

 でも、あの子達は何度か見つけたみたいだったわね。

 どうやって見つけたのかしら?


「ヴォジャノーイちゃん……あの子達を見つけてみたら何か分かるかも」


「あの子達とは?」


「ルゥと一緒に遊んでいた子達よ」


 そうなのね。

 あの時の人間の女の子がルゥだったのね。

 じゃあ……

 あの老女が魔王の母親。

 とても正気には見えなかったわ。

 家族は他にいなかったみたいだし、ルゥは苦労していたのね。


「今日はもう遅いから明日捜しに行きましょう? あの子達、ジャックフロストを……ね」


 一体何がどうなっているの? 

 まさか……

 あの人間の女の子がルゥだったなんて……

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